婚姻率20年間最下位「秋田県」の新しい婚活支援 1月に導入のAIマッチングシステムで成婚も

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市町村レベルで独自の活動をしているのは、佐賀県の伊万里市だ。2010年4月、全国に先駆けて「婚活応援課」を設置した(現在は、まちづくり課婚活応援係)。登録会員の引き合わせのほか、毎月、手作りの婚活イベントを開催してきた。成婚者数は2010年からの総数で265人。5月末現在の登録者数は595人(男性337人 女性258人)だ。

伊万里市ではさまざまなイベントも実施。登録後は3カ月先までの婚活イベント情報の提供や婚活アドバイス、相談を無料で受けられるほか、1対1でのプロフィールによる引き合わせが可能だという。

過去にはバスツアーイベントも実施した

最近はコロナ禍のためイベントは行っていないが、1月には「三社詣りバスツアー&カキ焼き」を実施。その場で4カップル誕生した。もっとも、その後のフォロー調査の結果、4組とも長続きしなかったそうだ。婚活応援係担当者は、「残念です。でも、昨年12月のイベントに参加してカップルとなった30代の男女からは結婚するという報告をいただきました」と口にする。

多くの自治体が外部企業などに委託する中、伊万里市は専門部署を持ち、しかも交付金を当てにせず、すべて自前だ。そのため年間予算も49万6000円と低く抑えることができている。

自治体の婚活支援事業の一端を見てきたが、出生数は減り続け、人口減が止まらない。婚姻件数、婚姻率も大幅な改善は見られない。全国各地の自治体の調査報告書や事業実施計画書などをみると、さまざまな課題が見えてくる。

AIマッチングシステムを導入した秋田県は、導入前の2019年3月に「少子化・子育て施策等に関する調査 報告書」をまとめた。学生と独身の就業者を対象にした「現在、独身でいる理由」という設問への回答で最も多かったのが「結婚したいと思う異性とめぐり会わない」が53.1%だった。婚活支援事業の重要性をうかがわせる結果だ。

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