アパレル苦境下で200%伸びたブランドの正体 「広告宣伝しない」「セールもしない」で成長

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ライブ配信の様子(写真提供:foufou)

実際にライブ配信を見てfoufouの商品を購入したというAさんは「これまで、試着なしで服を買うことには抵抗がありました。でも、モデルさんではなく親しみやすい体型の方がきれいに着こなしている様子を見て、欲しくなりました。作り手の顔が見えるので、ブランドを応援している気持ちになれるのがうれしい」と語った。

マール氏が考える、ライブ配信で販売するためのコツが、また実に個性的だ。

「ライブ配信で大切なのは、商品のかわいさはもちろんのこと、デメリットを過剰なまでに盛って伝えることです。僕は『この素材はギュンカワだけど、シワになるしとても扱いづらいですよ』とか『布をたくさん使っているので、重いですよ』とか、繰り返し話しています。

そうすると、納得した方しか購入しないし、『意外と大丈夫だったな』と、顧客の満足度が上がり、リピートしてもらえるんです」(マール氏)

憧れと親近感のバランスを、強く意識して発信しているそうだ。

コロナ後のファッションは…

今後の経営方針について、マール氏は取材の最後にこう語った。

「新型コロナウイルスによって、『わざわざ外出する』ことが大きな意味を持つようになりました。日用品としての服飾費を抑える人は増えると思いますが、その分『日常を非日常に変えてくれるためのファッション』に投資する人も多くなるはず。『近所を散歩するときにも、気分転換のためにfoufouのワンピースを着るようになりました』と語ってくださるお客様もいます。

大手は着心地がいいカジュアルウェアにシフトしてくると思いますが、僕らのような小さなブランドは、巨大資本と同じことをしても意味がない。アウトローでいなければならないんです。他社が一気にECシフトするこのタイミングで、別の動きをしたいと考えています」

大手資本とはまったく違う発想で成長するfoufou。アパレルに限らず、多くの業種で参考にできる点がきっとあるはずだ。

小沢 あや コンテンツプランナー 、 編集者

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おざわ あや / Aya Ozawa

音楽レーベルで営業とPRを経験後、IT企業を経て、2018年に独立。エッセイのほか、女性アイドルやミュージシャン、経営者のインタビューを多数執筆。Engadget日本版にて「ワーママのガジェット育児日記」連載中。豊島区公認の池袋愛好家としても活動している。

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