最近よく聞く「バーチャル留学」試す価値あり? コロナ禍で渡航を断念した学生に朗報なのか

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留学と同様、海外インターンシップも新型コロナウイルスの影響を受け、渡航を中止する参加者が相次ぎました。そんな中、在宅で海外インターンシップに参加できるように開発されたのが、世界40カ国以上で海外インターンシップを展開するタイガーモブの「オンラインプロジェクト」です。

自宅にいながら、世界のさまざまなプロジェクトに参加可能。募集中の案件は現在40以上あり、国もルワンダ、ブルキナファソから、イスラエル、ドイツ、メキシコと、バリエーション豊か。発展途上国での社会問題に取り込んだり、ベンチャー企業でサービスの立ち上げに関わったりするプロジェクトは“タイモブらしさ”があふれています。

受け入れ先企業とのミーティング風景(写真提供:タイガーモブ)

インドのスラム街の女性を支援している会社で同プログラムに参加している、高校1年生のKくん。当初は文部科学省の留学促進キャンペーン「トビタテ!留学JAPAN」の奨学生としてインドへ渡航し、現地でソーシャルビジネスの会社にインターンシップをする予定でした。

それが新型コロナウイルスの影響でインドへの渡航中止を余儀なくされてしまい、インターンシップを断念することになりました。そうした中、このオンラインプロジェクトの存在を知り、インドのプロジェクトに参加することができたそうです。

現地の会社は、インドのスラム街に住む女性たちを雇い、ハウスキーパーとして働いてもらうことで、彼女たちの貧困問題の解決に貢献をするソーシャルビジネスを行っているところ。もともとITリテラシーが高かったこともあり、彼が担当したWebマーケティングや新規事業の開拓、新規顧客確保のためのSNS運営などのプロジェクトはとてもやりがいがあると言います。

「日本とインドでは文化や環境が違うこともあって、日本であればグレーとされる方法で商品などを販売しているインドの会社をときどき見かけます。日本との感覚の違いを、オンラインプロジェクトを通して毎日発見することができるので、とても面白いです」

タイガーモブはできるだけ多くの人に機会を提供したいと考えており、オンラインプロジェクトの参加費用は学生の場合は3万円(税抜き)に設定しています(社会人は5万円)。ホストカンパニーのマッチングや面接設定、事前オリエンテーション、現地での危機管理などが必要となる通常の海外インターンシップの費用から考えると、リーズナブルな価格設定です。

アフターコロナの留学のカタチ

新型コロナの脅威が落ち着いたあとも、おそらく従来と同様の留学の姿には戻らないと筆者は予想しています。ハイブリッド型の留学ともいうべき「バーチャル留学+リアル留学」のミックス型が増えるでしょう。

バーチャル留学で英語力を伸ばしたり、学校との相性を確かめたうえで準備を進め、そのあとで実際にビザを取得して留学に参加する。そして、帰国後もブラッシュアップのためにオンラインを活用する――。そんなスタイルに移行しそうです。

不確実な時代の中で生まれたバーチャル留学は、ZoomやMicrosoft Teamsといったオンラインプラットフォームの力を借りてさらに進化し、世界中いつでもどこでも気軽に学習できる強力な教育コンテンツとなりつつあります。留学には縁がないと諦めかけていた人にも機会を提供できる点で、成長の可能性を秘めていると思います。

大川 彰一 留学ソムリエ 代表取締役

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おおかわ しょういち / Shoichi Okawa

日本認定留学カウンセラー協会幹事、TAFE Queensland駐日代表。1970年京都市生まれ。セールス&マーケティングに約10年間携わり、カナダに渡航。帰国後、留学カウンセラーとして4年間で約1000名以上の留学やワーキングホリデーに関わる。その後、米国の教育系NPOのアジア統括ディレクターとして約6年間、グローバル人材育成に尽力。海外インターンシップを大学の単位認定科目としての導入に成功、東北復興プロジェクト、アジアの国際協力プログラム開発にも携わる。現在は「留学ソムリエ®︎」として国際教育事業コンサルティングや留学の情報を発信。留学ソムリエの詳細はHPFacebookから。著書に『オトナ留学のススメ』(辰巳出版)。

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