渡部建「好感度ブランド大崩壊」の皮肉な裏事情 人気TV番組に起用される理由が逆に致命傷に

拡大
縮小

そこで私は20~40代の女性が好むグルメ・ファッションを軸にした内容で勝負することにした。当時すでにTBSが土曜日に「王様のブランチ」という情報番組を放送して人気だったが、この「ブランチ」を「毎日やる」ということが「ヒルナンデス!」の当初の狙いだった。

そして出演者をキャスティングするにあたっても「女性ウケ」を最優先にした。

いわゆる「お笑いマニア」が絶賛するような尖った笑いの芸人よりも、ルックスが良く清潔感があって女性視聴者から「嫌われない人」であることを起用のポイントにした。

そのような考えの下で関ジャニ∞の横山裕さん・村上信五さんや、「育メン」つるの剛士さんにレギュラー出演をしてもらうことになった。

そして、火曜日の曜日MCとして私が起用したのが「渡部建」なのである。

「好感度が悪くない・女性視聴者に嫌われない芸人」

児島一哉さんとのコンビ「アンジャッシュ」は、スタイリッシュで理詰めな「すれちがいコント」が秀逸で「エンタの神様」などで注目されていた。なかでも渡部氏は〝イケメン芸人〟として「お笑い好き女子」の間で人気を博していた。

ただし、2010年の時点ではあくまで「芸人さんの中にイケメンな人がいる!」「渡部って人がワリと素敵」というイメージであり、「第一線の有名タレント」まではあと一歩及んでいないというポジションだった。

コントが面白いのは間違いないのだが、生放送の情報番組でどれだけの「腕」を持っているのかは未知数な部分もあった。

それでも彼が画面に映った際に、〝この人キライ〟という女性視聴者は多くはないだろうというのが私の判断だった。

アクの強い芸人・タレントの場合、視聴者は「映った瞬間にチャンネルを変える」ということがある。特に昼の番組ではターゲットであるF1F2がチャンネルを変える出演者は避けなければならない。

その点、「渡部建」は一見スタイリッシュなイケメンであると同時に、幸か不幸かまだ〝嫌われるほどの一般的知名度〟も高くなかった。

「好感度が悪くない・女性視聴者に嫌われない芸人」としてのキャスティングだった。

次ページうなぎのぼりに“出世”していった
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT