あの「たいめいけん」が手を組んだmenuの正体 名店のテイクアウトや宅配をITでサポート

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確かに、梅雨から夏へ向かう時期、食中毒対策は大きな課題となる。新たにテイクアウトを始めたレストランにとっても、神経を遣うところだろう。

同店がmenuに掲載しているのは、名物のオムライスをはじめ、ハンバーグなど。ステーキやビーフシチューなどの高級料理もテイクアウトに対応している。

「皆さんにたいめいけんの味をご自宅で味わっていただけるよう、ハンバーグは1000円(税別)にしました。店に出しているものとは異なりますが、それでもいい肉を使っていますよ」(茂出木氏)とのことだ。

menuでは店舗がmenu側に支払うデリバリー手数料を、商品価格の33%に設定している。先述のとおり時間帯や距離等による変動制をとっており、最終的にはお客の支払う料金に上乗せされることになる。しかし飲食店にとっては、あまり高すぎても利用してもらえなくなるため、商品の原価と天秤にかけざるをえない。

とくに同社のような歴史が長くブランド力のある店は、味を落とさずに価格も手ごろに、というさじ加減が難しい。デリバリーを導入してお客の獲得機会は増やしたいというなかで、ジレンマとなっているようだ。

ポストコロナで期待される中食産業の分野

最後に、ポストコロナ、あるいはwithコロナというワードも一般的になってきている今後についても各社に聞いてみた。飲食業界において、どのような社会が想定されるのだろうか。

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「コロナにより、テイクアウトやデリバリーのウェブサービスが活発になったということが言えます。今後もこの市場を盛り上げて、より食生活、食文化を豊かにしていければと考えています」(menu二ノ宮氏)

「デリバリー需要は今後も伸びていき、飲食店のあり方は変わっていくでしょう。例えば店の作り方にしても、デリバリーメインの店と来店を前提にした店では違います。しかし実来店にはやはり、デリバリーにない魅力があります。例えばデリバリーを通じて実来店を促すような、いい意味での相互の共存が生まれればと思っています」(スカイファーム榎本氏)

コロナ以前も、飲食業界で拡大しつつあった中食市場。そして今、中食は単なる「外食の代わり」ではなくなっている。より食生活や飲食の市場を豊かにする、中食産業の分野に期待したい。

圓岡 志麻 フリーライター

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まるおか しま / Shima Maruoka

1996年東京都立大学人文学部史学科を卒業。トラック・物流業界誌出版社での記者5年を経てフリーに。得意分野は健康・美容、人物、企業取材など。最近では食関連の仕事が増える一方、世の多くの女性と共通の課題に立ち向かっては挫折する日々。contact:linkedin Shima Maruoka

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