コロナでお金に困る人が家計から絞り出す方法 休眠預金のほか生命保険を担保に借りることも

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「契約者貸付制度」は、解約返戻金の金額を上限に、保険会社からお金を借りられる制度です。積み立て型の生命保険に契約している場合に使えます。通常は借りたお金には利息がかかりますが、現在は新型コロナウイルス感染症への特別対応として、ほとんどの保険会社で金利を0%にしています。2020年6月末までに受けた貸付について、9月末までは金利ゼロで借りられるところが多いです(2020年5月現在)。

お金を借りるには書類での手続きが必要な保険会社もありますが、保険会社が発行するカードを持っていれば銀行、コンビニ、郵便局などのATMで引き出せるところもあります。また現在は、コールセンターへの電話やインターネットでの手続きだけで銀行振り込みで貸付金を入金してもらえるところもあります。

借りたお金は、指定された期日までに返す必要があります。期日を過ぎると保険が失効してしまいますから、コロナ禍が収まったら返す見通しをもって借りなければなりませんが、当面のお金を確保する手段として活用できそうです。残念ながらいわゆる「掛け捨て型」の保険では解約返戻金がないため使えませんが、自分が入っている保険がどんなものかを改めて確認しつつ、検討するとよいと思います。

確定拠出年金を引き出すのはかなり厳しい

会社の退職金制度の一環として、また自分の老後資金として確定拠出年金を積み立てている人からは、それを引き出せないかと聞かれることがあります。しかし結論からいうと、かなり難しいと思います。

確定拠出年金には、会社員の人が勤務先を通して加入する「企業型」と、20歳から60歳の人なら誰でも加入できる「個人型(iDeCo)」があります。どちらも老後に向けて定期的にお金を積み立てていく制度で、税制面での優遇措置があることから節税にもなると注目されています。

しかし、原則として60歳まで引き出せない仕組みになっています。

「原則として」なので、例外的に引き出すこともできるルールにはなっていますが、現実的には難しいです。

確定拠出年金は老後になってから年金を受給するとき、また現役中に障がい状態になった、死亡した場合にはじめて現金で受け取れるものです。それ以外の理由で引き出すには、制度から脱退して「脱退一時金」を受け取るしかありません。

ところが脱退一時金を受け取るには細かな要件があります。企業型の確定拠出年金の場合、退職して制度の加入者ではなくなった、運用指図もしていない、かつ確定拠出年金の資産額が1万5000円以下であるなど複数の要件をすべて満たしている必要があります。また個人型(iDeCo)でも、国民年金の保険料が免除されている人で、かつ資産額が25万円以下であるなどが問われます。

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