学習塾のオンライン化「諸刃の剣」と言える理由 塾経営者たちが語るメリットとデメリット

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バックオフィスで講師が行う業務は、保護者への連絡管理として「指導報告書の作成」「入退室管理」「請求連絡」などがあり、業務管理として「各生徒の成績管理」などが挙げられる。さらには、講師自身を管理する経営管理もあり、これらバックオフィスの仕事量は、約3割を占める授業時間の倍以上、実に全体の7割に及ぶとも言われる。

手書き、郵送、電話、月々の授業料の手渡しという具合に、そのほとんどがアナログで行われることも珍しくないため、これらをオンライン上で一括管理できるようにすることで、バックオフィスの時間を削減し、授業の質を高めることや、教育事業者の疲弊を軽減させることにつなげようというわけだ。オンライン授業を配信するとなれば、連動させるにこしたことはない。

退塾の理由の多くは「コミュニケーション不足」

「2018年の後半以降、バックオフィスの業務支援サービスを導入する塾は急激に増えていきました」。こう語るのは、学習塾向け業務効率化ツール「Comiru」を手掛けるPOPERの広報担当・佐久間健太さん。大手から個人教室まで全国約1800教室に導入され業界シェアNO.1を誇る。

「当社の調査の結果、保護者の方が『学力・成績の向上』以上に、『コミュニケーション不足』を理由に退塾する傾向があることがわかりました。さらに、塾から保護者への連絡方法は電話や郵送物といったアナログな連絡手段が7割を超え、メールは19.5%、LINEはわずか4.8%という結果も明らかになりました」

忙殺され電話を取ることができない、子どもが持ち帰るプリントに目を通せない――、そういった学習塾とのコミュニケーションの行き違いが退塾につながることから、「メッセンジャーツールを導入し、スマホですぐにチェックできるといった連絡機能も搭載していることがご好評いただいている一因」と話す。

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