「全社一斉リモートワーク」1カ月で見えた極意 クラウド会計「freee」佐々木大輔CEOが語る

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――社員同士が同じ空間にいないと、業務管理上の課題はありませんか。

これも、リモートになったことでチームごとに「朝会」をやるようにしている。雑談をしたり、昨日これをしました、今日何をします、今こういうことで困っていますということを共有している。チームによっては業務終わりに「夕会」もやっている。

営業面では「Salesforce(セールスフォース)」をもともと使っているので、すべてクラウド上で管理できている。エンジニアもビジネスチャットの「Slack(スラック)」で進捗を連絡し合っている。

もともと何でも共有することが当たり前という文化があることも大きい。属人的ではいけない。全社レベルでいえば、この月、この四半期で達成したいこと、それに対する進捗を月次でスプレッドシートで共有している。

リアルオフィスへの出社は“カルチャー”次第

――リモートワークがもっと進むと、オフィスはいらないのではないですか。

業種によっては物理的に対面しないとできないこともある。マッサージのようなサービスや工事現場、工場などだ。ただ、ほとんどすべての仕事は理論的にはリモートが可能だ。

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あとは文化の問題になる。チームとしての一体感を大事にするのであれば、オフィスで来て一緒にやろう、そのほうが楽しいよね、という考えもある。一方で独立性やプロフェッショナリズムの高い組織であれば、全員リモートということもありうる。業務自体はリモートで回るはずなので、「カルチャーとしてのリアル出社」という世界観が生まれるかもしれない。

また、採用面でのリモート活用もある。優秀なエンジニアだが、東京では働きたくないという人もいる。リモートを許可することで採用できる対象が広がる。

「コロナ後の世界」が語られ始めているが、BCPとしてリモートを可能にしておくことは重要だ。どんな災害にも共通している。今回は地震が起きた場合よりも影響が広範囲で、今後の働き方を変えるきっかけになっていくだろう。

中川 雅博 東洋経済 記者

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なかがわ まさひろ / Masahiro Nakagawa

神奈川県生まれ。東京外国語大学外国語学部英語専攻卒。在学中にアメリカ・カリフォルニア大学サンディエゴ校に留学。2012年、東洋経済新報社入社。担当領域はIT・ネット、広告、スタートアップ。グーグルやアマゾン、マイクロソフトなど海外企業も取材。これまでの担当業界は航空、自動車、ロボット、工作機械など。長めの休暇が取れるたびに、友人が住む海外の国を旅するのが趣味。宇多田ヒカルの音楽をこよなく愛する。

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