東京製鉄の新工場がついに稼働、激化する原料スクラップ争奪戦

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 また、原料のスクラップの調達にも注目が集まっている。もともと中部地域は工場が多く、スクラップの発生が多い地域。実際、「中部に生産拠点を置くのは調達という理由も大きい」(阪部常務)という。

だが、同地域には大同特殊鋼や愛知製鋼など有力電炉メーカーが多い。ある高炉大手の幹部は「中部の電炉メーカーは原料調達力も強いので東鉄も苦労するのでは」と語る。東鉄は新規の直納業者を募集したが、「皆さんとても慎重。地元で付き合いのある電炉メーカーの顔色を見ているようだ」と大堀常務も語る。

スクラップは国際商品でもある。足元では中国の調達は一服しているが、需要が盛り返せば価格が急騰する可能性もある。そうなれば自慢の価格競争力が弱まり、東鉄の優位性が崩れるリスクもある。

工場には巨大なスクラップヤードが用意され、1月末にも購買を開始する。鋼板シフトを一段と進めた東鉄だが、スクラップ争奪戦が最初のハードルとなりそうだ。

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(山内哲夫 =週刊東洋経済)

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