コロナで韓国企業が崖っぷちに追い込まれる 自動車、航空などを直撃、経済停滞は不可避に

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この数年間、業績悪化に苦しんできた造船業界もまた、先行きが暗くなった。韓国造船海洋は最近、「世界経済の影響を直接受けており、最悪の状況に備えるほかない。年初に立案した2020年の受注や事業目標と経営計画を全面的に再検討する必要がある」と社員に訴えた。

韓国経済の主軸である半導体産業は、販売といった直接的な被害よりは、市況の回復局面が鈍ることを心配している。急激な下降局面が続いた2019年の状況から抜け出し、2020年は年初から回復すると思われていたが、その回復時期はさらに遅くなる可能性が出てきた。

旅行需要はほぼ消えてなくなった

旅行業界と航空業界は需要がほぼなくなったと言っても過言ではない。韓国航空協会は2020年上半期の韓国航空会社8社の売上高が、少なくとも5兆0875億ウォン(約4500億円)減少すると見ている。2月の国際線旅客数は前年同月比で47%減少し、3月はこれよりさらに悪化するのは確実だ。

仁川国際空港によると、3月1日~15日の間に同空港を利用した乗客は41万7009人(出入国合計)で、前年同期比で85.2%も減少した。3月11日の利用客数は1万0522人に落ち込み、1万人割れが目前となっている。同空港の利用客数がもっとも少なかったのは、SARS(重症急性呼吸器症候群)の感染拡大がピークとなった2003年5月20日の2万6773人だった。

2017年はTHAADによる中韓対立のあおりを受けて旅客数が減少。2019年は日韓貿易対立の影響を受けていた。航空業界は今回、コロナウイルスにより最悪の危機を迎え、現状は「生き残りをかけて耐える時期」と言われている。営業活動が事実上中断した状況で、固定費の支出に耐え、事態の収束を待つほかない状態だ。

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