国内営業部に「外国人を配属した会社」の大失敗 「営業のために方言を学ぶのはちょっと…」

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ニッポンの会社の「精神論」好きは、「優秀な外国人を能力に合わない部署へ配属する」という判断にもつながっています(写真: EKAKI/PIXTA)
デンマーク語、英語、フランス語と日本語ができるマルチリンガルのデンマーク人女性。才気にあふれた彼女を「国内営業部」に配属したある会社の失敗とは? 日独ハーフコラムニストのサンドラ・へフェリン氏の新刊『体育会系 日本を蝕む病』から一部抜粋・再構成してお届けする。

ニッポンの会社は「精神論」が好きであり、その体育会系的な考え方は社員採用の際、「誰をどの部署に配属させるか」という判断にも反映されています。

「新人は基本的なことから体験すべき」だという考え方が日本で蔓延しているため、せっかく優秀なスキルを持った社員に対しても、「まずは雑巾がけから」というようなことをやってしまうわけです。

筆者の知人にデンマーク語、英語、フランス語と日本語ができる高学歴のデンマーク人女性がいます。ただマルチリンガルの人の多くがそうであるように、「どの言語も同レベルできる」わけではありません。

順番で言うと、デンマーク語は母語、英語はほぼ母語並み、その後にフランス語と続きます。日本語は流暢ですが、成人してから習い始めたため、多少のアクセントはありますし、会話をするには十分ですが、日本語の細かいニュアンスには戸惑うことがあると本人も言っていました。

「国内営業部」に配属された彼女

そんな彼女が日本のある旅行関連の会社で働くことになりました。事前の案内では、ヨーロッパを含め世界各国とのやりとりがある国際的な会社とのことで、彼女の語学力は大いに生かされるはずでした。

ところがあろうことか、その会社は彼女を「国内営業部」に配属してしまいます。新卒、転職組、外国人を問わず、「新人はまずは国内営業部で体験を積む」というのがその会社の方針だったからです。

この国内営業部の主な仕事は日本の地方の顧客に電話をすることでしたが、そのデンマーク人女性は本当に困っていました。というのも、電話をかけさせられた先は日本の地方や田舎が多かったため、相手の話す方言を理解することができなかったからです。

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