楽天の「英語公用語化」は、ヤバいです 楽天・三木谷社長ロングインタビュー(その2)

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 2010年の英語公用語化スタートから4年。楽天のグローバル戦略が一段と加速している。ここ数年、電子書籍のkobo(コボ)、ビデオストリーミングサービスのViki(ヴィキ)、動画コンテンツ配信サイトのShowTimeなど、次々と国内外で企業を買収。今年2月には、無料通話・メッセージサービス「Viber」を手掛けるキプロスのバイバー・メディアを9億ドルで買収した。
 楽天は世界でどう戦おうとしているのか? 英語公用語化で会社はどう変わったのか。そして、どうすれば日本企業はより多くのイノベーションを起こせるのか。バイバー買収の背景から今後の世界戦略、そして、スタートアップへの思いから若者へのメッセージまで、ロングインタビューで三木谷浩史社長に話を聞いた〈全4回〉。

 ※ インタビュー(その1):三木谷さん、楽天は世界で勝てますか?

メディアへの注文

――楽天は近年、デジタルコンテンツ分野の強化を進めていますが、買収しているのは、プラットホーム型のサービスが中心です。自らコンテンツを作るという部分には、あまり興味はないですか?

スポーツのコンテンツはそれなりに創っています。野球なんかはすさまじいコンテンツですよ。本当に映画にすれば1000億円、2000億円の製作費がかかるようなものですから。それ以外のところについては、今のところはまだやっていないですね。むしろ、そういうコンテンツプロデューサーの敵になるのではなくて、味方になって助けていくという立場でいきたいと思っています。

――2005年のTBSの買収騒動からかなり時間が経ちました。

(笑)そんなことありましたね。

――もうテレビにはあまり興味はない?

今の戦略としては、多面的にいろんなテレビ局さん、放送局さんと付き合っていくという考え方です。どこかひとつに肩入れするということは、今のところはないです。

――取材される立場として、今の日本のメディアに対する不満というか、自分の意図がきちんと伝わっていないというフラストレーションはありますか?

フラストレーションというか、記者クラブの問題も含めて、政治、役所、メディアがある意味絡まり合って、ひとつのシステムが出来上がってしまっているんですよね。一般用医薬品のネット販売のときもそうですが、なんとなく役所とメディアの貸し借り関係の中で、正しいと思っていてもそのことを書けないといった力学が働くのは感じます。

それからメディアには、もう少しグローバルの視野で、大所高所から原理原則論というか、「根本的にはどうなんだ」という議論を、もっとしてほしいと思っています。

――現在、日本のネット企業の中で、メインプレーヤーとして世界の最前線で戦っているのはソフトバンクと楽天ぐらいです。自らのチャレンジの壮大さが、日本で十分理解されていないと思いますか?

まあ、自分でもあんまり壮大だと思ってはいないんですけど。私に限らず、スポーツの分野で大リーグに行った田中将大投手などは、みんな応援しますが、実業家でもジャーナリストでも、世界に行って勝負しようという人たちをもっと応援したらいいのになあとは思います。

――今回、フランス政府から最高勲章である「レジオン・ドヌール勲章」を授章しましたが、日本よりむしろ海外のほうが、正当に評価してくれているという思いはありますか?

そうですね。これはマスコミだけではなくて、一般社会も含めて、アントレプレナー、チャレンジャーに対する称賛というのは、やはり欧米のほうが高いですよね。まあよくやったと、頑張っているなと。すごいねという評価はありますよね。

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