楽天の「英語公用語化」は、ヤバいです 楽天・三木谷社長ロングインタビュー(その2)

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英語教育に物申す

――2009年のインタビューで、三木谷さんは「20年後に世界一のインターネットカンパニーを作る」と語っていますが、それから5年経ちました。

それは一応、漠然とした目標としてはあります。具体的には、日々、地殻変動が起こっている業界の中で、3年先、4年先はどうなっているかを見つつ、自分が持っているポートフォリオをうまく組み合わせながら手を打っている状況です。まあ、数字的にはそれなりのサクっとした目標があって、大体いけてきているかなとは思っています。

三木谷浩史(みきたに・ひろし)
楽天社長
1965年神戸市生まれ。88年一橋大学卒業後、日本興業銀行(現・みずほ銀行)に入行。93年ハーバード大学にてMBA取得。興銀を退職後、96年クリムゾングループを設立。97年2月エム・ディー・エム(現・楽天)設立、代表取締役就任。同年5月インターネット・ショッピングモール「楽天市場」を開設。04年にJリーグ・ヴィッセル神戸のオーナーに就任。同年、東北楽天ゴールデンイーグルスを設立、2013年に日本一に輝く。

――三木谷さんが今いちばんライバルだと思っている経営者は誰ですか。

あんまりライバルというのはいないですね。

たとえば、メッセージングだったらLINEと多少かぶりますし、トラベルだったらリクルート、金融であればSBIというふうに、各事業で競争相手はいますが、事業全体としてはあんまりないですよね。孫さんともフィールドがだいぶ違いますし。

僕らはイノベーターであり、新しいものを作っていくアントレプレナー集団なので、本来であれば、競合というより協力しあって新しい仕組みを作っていくべきです。そうした考えがあって新経済連盟を作りました。

――新経済連盟では、「イノベーション」「アントレプレナーシップ」「グローバル」という3つのキーワードを掲げています。まず「グローバル」という切り口で言うと、英語は外せないテーマです。三木谷さんは、英語教育のあり方に関する文科省の有識者会議のメンバーですが、英語教育改革において、いちばんのイシューは何ですか。

とりあえずは入試改革ですね。ゴールを変えるとプロセスも変わる。一応、大学入試を変えようということは、コンセンサスが取れています。次は、中学と高校の入試もある程度変えたい。

高校入試に関しては、今はほとんどが文法や和訳が中心となっているので、実用英語を増やして、バランスのよい仕組みに変えるのが重要です。また、できれば私立中学の入試にも英語を科目として加えたい。私立中学ですから、どこまで推奨できるかわかりませんが、もしこれが実現できたら、皆さんの考え方が根本的に変わるのではないかと思っています。

――もし今の改革案が実現すると、具体的に英語教育がどう変わる?

すごく基本的なことですが、まず英語の授業の中で日本語を使わなくなります。要するに、最初の「Hello」のあいさつから始まって、全部を英語でやる。それが実行されれば、本当にいいと思います。

――まだ決定したわけではないんですね。

一応、方針としては決まっていますが、実行段階になると、総論OK、各論NOが出てくるんですね。ここをなんとか押し通して、文科省にはぜひやっていただきたいと思います。

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