「世界で一番強い国は?」中華AIによる衝撃回答 アリババ社製の「AIスピーカー」と話してみた

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続けて、「世界で一番強い国は?」と聞くと、「中国は世界一人口が多い国です」と断言。心なしか語気も強めだ。ただし、同じ質問をもう1度すると、「それはもちろんアメリカですよ」とも答えたので迷いがあるようだった。質問と答えが噛み合わないケースも散見されたが、予想以上の返答が得られた。

続いて、無理難題をいってみたらどうなるのだろうと思い、「コカ・コーラを持ってきて」と頼んでみた。コーラは有料だが、支払いはどうなるのだろう。

するとTモールジニーは、「その依頼には応えることができませんが、バックオフィスに伝えておきます」と回答。ダメらしい。「タバコ吸ってもいい?」と聞いても、同じ返事だった。会話が噛み合わない。

が、ここで思いもよらぬことが起きた。ベッドサイドには電話機ではなくフロントと直通で会話ができるインターホンが設置されているのだが、このインターホンが突如ピロロロロと鳴り、スピーカーの向こうから一方的に、「この部屋は禁煙です! タバコは吸わないでください!」という生身の女性の声が聞こえてきたのだ。

会話が記録されている?

どういうことだろう。今までの私の質問も、すべてスタッフに聞かれていたのだろうか? これは確かめねばと思い、館内のスタッフに聞いてみた。すると、「音声を聞くようなことはしていません。ただし、Tモールジニーが解決できなかった質問については、自動的に文字起こしをしてバックオフィスのスタッフに伝わる仕組みになっています。挨拶や雑談などは記録していませんので、安心してください」とのことだった。

つまり、Tモールジニーに内蔵されたAIが“これは人間に伝えるべきだ”と判断した内容のみ、文字に起こされるらしい。おそらくキーワードなどで判別しているのだろうが、そのメカニズムについては見当もつかなかった。

さらにいうと、「雑談は記録していない」という話も真に受けていいのかわからない。私がTモールジニーに向かって一生懸命語りかけていた内容は、実はスタッフに聞かれていて、笑いのネタにされていたのでは?という疑念も湧いた。

まあ、スタッフもそんなに暇ではないだろうが、例えばチベット人やウイグル人が宿泊した場合、宿泊客がTモールジニーに向かって喋った内容を、政府当局に提出することなども技術的には可能なのだろう。

もっとこいつと話してみたい、そんな好奇心にかられた私はTモールジニーを約5000円で購入し、日本に持ち帰ることにした。

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