日本人はSNS加害者になる危険を知らなすぎる 「よかれと思って」が引き起こす大変な事態

拡大
縮小

炎上などからもわかるように、ネットでは怒りのベクトルが一斉に同じ方向に向きやすく、正義感が暴走しやすい。だからこそ、食いつきたくなる情報ほど、拡散する前に冷静に吟味することが大切なのです。

SNSのフェイク情報を信じて逮捕

そのほかにも、SNSに踊らされた結果の逮捕例は少なくありません。こんな事例があります。

ある男がオービス(速度違反自動取り締まり装置)にかかり、制限時速40kmの道路を時速78kmで走行したとして速度超過で逮捕されました。

しかし、通常はこのレベルの速度超過では、逮捕まではされません。ではなぜ逮捕されたかというと、ネットのデマを信じて警察からの出頭要請を拒み続けたからです。

男はネットのデマ情報から、オービスの写真1枚では本人と断定できないので、警察への上申書に「運転していたのは自分ではない。車は第三者に貸していたが、その人の名前は明かせない」と書いて出頭を拒めば大丈夫、と信じてしまったのです。

このデマを信じて逮捕された人は、1人や2人ではありません。素直に警察の出頭命令に応じていれば、逮捕までされることはなかったのです。

こうしたネットのデマにだまされないようにするには、

① ネットの情報を鵜呑みにしない
② エビデンス(根拠)があるのかを必ず確認する

この2つを習慣にすることです。

本当かどうかは、例えばその情報に関係する組織や機関に問い合わせをすれば、すぐに確認がとれるはずです。

SNS等のネット情報は、まず疑ってかかる癖をつけたほうがいいでしょう。

デマの拡散以外でも、とくに若い世代に忍び寄っている魔の手があります。それが「闇バイト」です。

振り込め詐欺などでは現金の受け取りなどをする「受け子」が必要になります。そこで反社会的勢力は、SNSを通じてその募集を行うのです。

よくあるパターンとしては、Twitterで「これをリツイートしたら1万円あげます」とツイートをします。お金がほしい人は、言われたとおりリツイートします。

すると本当に1万円をあげるのです。遊びたいけどお金がない大学生などは大喜びです。

次ページ“高額が稼げる”で行ってみたら「闇バイト」だった
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT