中国人民銀、元安と金利低下で投機筋攻撃か

人民元下落、金融緩和観測も浮上

3月10日、上海外国為替市場の人民元の対ドル相場は下落。写真は中国の銀行で2012年4月撮影(2014年 ロイター)

[上海 10日 ロイター] -週明け10日の上海外国為替市場の人民元の対ドル相場は下落。週末に発表された2月の中国貿易統計が驚くほど弱い内容だったことから、中国人民銀行(中央銀行)がぐらつく経済成長を支えるため、目立たない形で金融緩和を進めるとの観測が高まった。

2月の中国輸出は前年同月比で増加が予想されていたが、実際は18.1%の大幅減となった。製造業の活動が鈍化しつつあることが他の指標でも示されている。

エコノミストの間では、人民銀は金利低下と元安を同時演出することで、元高や高利回りによる利益を狙う投機筋を、二重に攻撃しようとしているとの見方が出ている。

また、経済回復が空回りしつつあるとの懸念から、当局が成長を軌道に戻すため、短期資金の供給を膨らませるという、より抜本的で持続的な政策転換に乗り出すとの見方も浮上している。

こうした動きは、高リスクのシャドーバンキング取り締まりや、企業に負債を削減させるための圧力を加えるといった取り組みが、一段落することを暗示している可能性もある。

シティバンク香港のシェン・ミンガオ氏は「近く、成長と改革のバランスが試されるだろう。その結果、政策的な動きは、構造改革よりも(景気)循環的な緩和を志向するかもしれない」と語った。

人民銀が預金準備率の引き下げに踏み込むとの観測も出ている。実現すれば、ベースマネーの供給が劇的かつ長期的に膨らむことになる。

一方、当局はここ数週間、着実に元安を誘導しており、一部アナリストは、輸出減少は当局の投機抑制策が反映されたと分析している。

JPモルガンのジュ・ハイビン氏はリポートで「(中国に投機資金を入れるため)架空の貿易取引を計上する誘因は消滅し、(統計上の)誤差は縮小するかもしれない」と指摘した。

ただ、中国の統計には、季節要因や投機的な資金の流れによってゆがみが生じているため、ここから当局の動きを過度に推測するのは危険だと警戒する声も聞かれる。

直物相場は先週半ばまで、9営業日で2%近く下落。人民銀は10日の基準値も大幅に引き下げ、13年12月初旬以来の低さに設定した。

トレーダーらは、人民銀の狙いについて、元が一貫して上昇する、リスクのない通貨だとの思惑で大量の元買いポジションを抱えた、短期の投機筋に圧力を加えることだとみている。

国有銀行もドル買い元売りを通じ、人民銀の動きを後押ししているという。

こうした介入は事実上の資金供給に相当するため、短期金利が急激に低下し、非常に低い水準にとどまっていることをある程度説明できる。

人民銀は3月初旬、春節(旧正月)前の大量の資金供給で生じた過剰流動性について、積極的に吸収せず、ディーラーを驚かせた。

国有銀行のトレーダーは金利低下について、銀行にリスクの高いシャドーバンキング関連の動きをやめさせ、手持ち資金を増やすよう促す当局の試みがある程度成功したと分析。

市場関係者によると、消費者物価に上昇率鈍化の兆しが出ていることも、資産バブルを悪化させることなく、政策緩和する余地を当局に与えているという。

人民元の対ドル相場終値は1ドル=6.1385元(前日終値6.1260元)。対円相場終値は100円=5.9470元(同5.9490元)、対ユーロ相場終値は1ユーロ=8.5240元(同8.4970元)。

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