「会社を3年でやめる若者」が減らない根本原因 雇用のミスマッチ生む「新卒一括採用」の罪

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新卒一括採用とは、企業が高校、大学を卒業予定の学生、すなわち「新卒者」を対象に在学中に採用試験をおこなって内定を出し、卒業後すぐに勤務させるという日本独特の雇用スタイルである。だが、この採用システムは企業にとって非常に生産性が低い。

まず入社予定の1年以上前から企業説明会や面接、選考、内定、内定者フォローなどの採用活動をおこなわなくてはならない。当然、お金も時間も手間もかかる。内定を出したら出したで、大企業でも内定者の半数に辞退されることもあるという。

2~3年は使い物にならない若手社員

日本の一般的な高校や大学は職業教育を一切おこなわないので、入社したら今度は新卒者に研修を受けさせなくてはならない。さらに研修を終えたとしても、配属された部署では新人は2〜3年のあいだは使い物にならないというのが現場の一致した見解だ。つまり、お金や時間や手間をかけて、即戦力という意味ではほとんど役に立たない人材を採用するという皮肉な結果になっている。

企業側もこの新卒一括採用の弊害を感じており、経団連は大手企業の採用面接の解禁日などを定めた指針を2021年春入社の学生から廃止すると発表している。これは解禁日ルールの廃止であって、新卒一括採用自体の廃止ではないが、これをきっかけに制度そのものを見直す動きが一気に広がるのではないかと私は見ている。

ちなみに、人材が流出していく分、補填しなくてはならないと考えた企業が目をつけたのが第二新卒、つまり一度新卒で就職したものの1~3年のうちに離職する人たちだ。

第二新卒なら最初に入った会社で社会人としての訓練も心構えもできている。卒業して3年以上経っている場合でも、20代ならば伸びしろがある。また、30代ならば実績と伸びしろの両方が期待できる。そのため転職市場では、こうした若者を採用しようという動きが活発になっているというわけだ。

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