「人に好かれようとする人」が成功しない理由 「99人の反対より1人の賛同」サードドア講演

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「ビル・ゲイツは、無名時代、寮暮らしをしながらどうやって最初のソフトウェアを売り込んだのだろう? レディー・ガガは、ウェイトレスとして働きながら、どうやって最初のアルバムの契約を結んだのだろう? こういったことは学校では教えてくれません」

バナヤン氏は図書館にこもり、成功者の自伝を片っ端から読み込んだ。だが答えは見つからない。そこで、誰も書いていないなら自分が成功者に聞いて本を書いてみようと思い立ち、『サードドア』の旅が始まった。ところが、インタビューを申し込んでも次々と断られる。ビル・ゲイツに会うまでに2年を要したという。

夢の実現を邪魔するのは「失敗することへの恐れ」

「本を書く、起業する、ミュージシャンになる。いろんな夢がありますが、それを実現するには2種類の障害があると私は考えています。

アレックス・バナヤン/作家、スピーカー。1992年8月10日、カリフォルニア州ロサンゼルス生まれ。大学1年生の期末試験の前日、アメリカの有名なテレビ番組『プライス・イズ・ライト』に出場し、世界で屈指の成功者たちから「自分らしい人生の始め方」を学ぼうと旅に出る。19歳のとき、シリコンバレー史上最年少のベンチャーキャピタルとなる。また、アメリカの大手出版社クラウン・パブリッシャーズ史上、同社と契約した最年少の作家となる。『フォーブス』誌「30歳未満の最も優れた30人」、『ビジネス・インサイダー』誌「30歳未満の最もパワフルな人物」に選出(撮影:Hoi Shan Wu)

1つは外面的な障害。私にはたくさんありました。まず、ビル・ゲイツのアシスタントたちです。当時は無名の大学生で、経験もお金もない。一切の信頼、信用を築いていませんから。

そして、外面的な障害がどれほど困難でも、それを上回るのが内面的な障害です。これは、自分が否定されること、拒絶されること、失敗することへの恐れです。私にとって最大の障害は、家族から見放されるのではないかという恐怖でした。

多くの人が夢に踏み出せないのは、『自分の周りの大切な人たちにそっぽを向かれるんじゃないか』と考えるからではないでしょうか。とくに私は、家族からの無言のメッセージを受け取っていました。『もし成功しないなら、もしいい子でないなら、あなたはこの家族の一員ではない』と。

大学を中退して本を書き始めると、ますますプレッシャーは高まりました。もしかすると『大学も出ていない、失敗した人』になってしまうかもしれない。首を締められるような苦しさでした」

バナヤン氏は、顧客獲得、資金調達、データ解析など外面的な障害に打ち勝つための指南書は社会にあふれているが、やはり人間にとっての最大の課題は、内面的な障害、つまり「恐れ」だと語る。

「私は当初、偉大な成功者たちは恐れを知らない人々なのではないかと考えていました。ところが、実際に彼らに話を聞くと、誰もが当初から恐れを感じており、しかも、人生を通して、つねに恐れを抱き続けていたということがわかったのです」

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