宇宙から見た地球のため息が出るほど美しい姿 JAXAエンジニアの「強い思い」から実現した

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「宇宙でシータ(360度カメラ)を使ったら面白いだろうな」――。

宇宙に360度カメラを持っていくことを提案したのは、JAXA宇宙探査イノベーションハブ主任研究員・澤田弘崇だ。澤田は、11月13日に小惑星「りゅうぐう」から出発した小惑星探査機「はやぶさ2」で使うカメラの開発を担当していた。

はやぶさ2が無事に打ち上がり落ち着いた2015年ごろ、澤田は「次のミッションで何か面白いことはできないか」と考えを巡らせていた。リコーから手軽に360度撮影できるシータが出ていることはもともと知っていたため、「これを宇宙に使えたら面白い」と思いついた。

太陽光が差し込み地平線がリング状に見える地球(南太平洋上空)(画像:(c)RICOH/JAXA)

リコーへ押しかけた

澤田はすぐにリコーへ押しかけ「シータを宇宙で使いたい」と熱い思いを伝えた。だが、リコーの反応はいまいち。「話を持って行ったときに渋い顔をされたのが印象」と振り返る。リコーの開発担当者は、提案の時点では断ろうとしていたという。

リコー山下良則社長(左から3人目)らも参加した発表会。澤田氏は左から2人目(撮影:田中理瑛)

シータは片手で持てるほどの手軽なサイズで、2013年に販売開始された。機種により異なるが、3万円前後で購入できることから、主にレジャーシーンなどで使用されてきた。

当然のことながら宇宙に持って行くことは想定しておらず、リコーの担当者が驚くのも無理はない。

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