マンション市場は値下げ継続で底打ちでも、本格回復は11年以降か《特集・不動産/建設》

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縮小


新規供給の減少で中古や戸建てが人気

こうした新規供給の減少によって、今、仲介市場や戸建て市場で異変が起こっている。たとえば、仲介市場ではトップの三井不動産販売によると「マンションの買い委託在庫を売り委託在庫で割った在庫倍率は8月が8・87で、過去最高だったバブル期を更新した」(金子雅生リアルプラン営業本部営業第二部長)と言う。それだけ中古マンションの買いニーズは旺盛だということになる。買い委託の内訳は「投資目的が減少し、個人の実需目的が多い」(同)。

また、戸建て市場でも思わぬ変化が起こっている。戸建て住宅専業のアーネストワンはいわゆるパワービルダーで、国道16号線の外側中心に2600万円前後の戸建て住宅を販売している。今期の販売計画棟数は3100棟としていたが、この第1四半期だけで1100棟を販売した。この調子で行けば予算の超過達成は必至だ。

好調の理由について同社の岡田慶太社長室長は、「同業の戸建て住宅業者の中に銀行融資を受けられない企業が増え、供給戸数が減っているためだろう」と言う。中古マンションや戸建ての動きを新築マンションの減少と関連させることはにわかにはできないものの、潜在化していた購買層が確実に動き出してきていることは事実だ。

一方、新規マンション市場では資金調達力のある大手デベロッパーが有利な状況になろうとしている。不動産経済研究所の角田勝司社長は「市場縮小の中で大手の寡占が進んできた」と表現する。別の言い方をすれば、供給余力のある企業は現在、大手デベロッパーだけといった状況になっている。

耐震偽装事件以降、購入者も大手志向が強まっているが、選別眼は一段と厳しくなっている。たとえば、リーマンショック以降、最も客離れが激しいといわれた都心の高額マンションの中にも即日完売物件がある。

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