「中古トラクター」がネットでバカ売れする理由 農機具は「ネットで買って売る」時代が到来

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買い取った商品は複数の販路で販売する。地域の農機具販売店に卸したり、国内外の法人向けオークションに出品することもあるが、日本最大級のオークションサイト「ヤフオク!」への出品が最大の販路だ。トラクターは数万円から200万円、コンバインは10万円から180万円、田植機は数万円から70万円程度で売れることが多いという。

実際、同社が販売する農機具は高い人気があり、自社サイトの「ReRe オークションストア」は2018年、ヤフオクの「DIY、農業機械部門」でもっとも売り上げを記録した店に贈られるベストストアアワードを受賞した。そのほかアマゾンや楽天でもサイトを出店している。今や、農機具でも「ネットで買ってネットで売る」サイクルが構築されつつあるのだ。

入社早々に農機具買い取りサービスを提案

「田舎では所々に使わなくなった農機具が放置されている。それが価値のあるものだとは思っていなかった」

こう語るのは、マーケットエンタープライズのリユース事業開発室で農機具を担当する伊藤香純(かすみ)氏。入社4年目の伊藤氏は、農機具の買い取りサービスを入社早々に提案した。

伊藤氏がコールセンターで買い取りの査定の仕事をしていたときのこと。さまざまな商品の査定をこなす中で、「トラクターを買い取ってくれますか?」などと、幾度となく農機具の買い取りについて聞かれたことがあった。当時はサービスの対象外だったため、丁重に断るしかなかった。

しかし、査定担当として3カ月が過ぎようとしていた頃に、新規プロジェクトメンバーの社内公募があった。伊藤氏は迷わず手を挙げ、2016年7月に異動。すぐさま農機具の買い取りサービスを提案したという。

他社でも同様のサービスを行っているが、地域限定で事業を行う業者が多いという。そうしたサービスを知らなかったり、近くに買い取り業者がいない場合は、費用をかけて処分することもある。手軽に利用できる買い取りサービスがあれば、離農する際の処分はもちろん、新品への買い替えもしやすくなる。

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