パッとしない資料を作ってしまう人々の共通点 「頭の中をそのまま資料化」もやりがち

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一方で、「できる人の資料」は、内容以前にデザインから醸し出される雰囲気が違います。「この提案は信頼できる内容に違いない」と、表紙を一目見ただけで「この人はできる感」がなんとなく伝わってくるのです。

そして、1枚目から「なるほど〜」「この手があったか!」と感心させられ、2枚目以降も「実直で、誠実な提案だ!」「ユニークで面白い」などと、読み手の心をつかみます。

資料を読み終えた頃には、「チームメンバーに共有しよう」「上司に時間をもらって報告しよう」などと、提案が読み手に受け入れられ、ビジネスの成果にも効果的につながります。

「できる人の資料」を見ると、内容はもちろん、見せ方に「戦略」を感じます。また、情報も整理されています。戦略に沿った設計、つまり、デザインができていれば、「読みやすく、わかりやすく、パッと目を引く」印象を読み手に与えることができますし、情報がきちんと整理されている資料には誠実さが感じられ、回覧・共有されやすくもなります。

時間に追われて余裕のないビジネスパーソンほど、「資料は内容が大事であって、デザインに手間暇をかける必要はない」と思いがちです。しかし、しかるべき戦略、型に沿ってきちんと作れば、ノンデザイナーであっても、効率よく、素早く、センスのよい「伝わる資料」が作れるようになるのです。

では、説得力のある「できる人の資料」を作るには、具体的にどのような点を気をつければいいのでしょうか。資料作成の経験が少ない人でもすぐに実践できる3つのポイントをまとめました。

頭の中身を、そのまま資料にしている?

「見にくくて」「わかりにくい」資料を作成してしまう人には、自分の頭に詰め込まれた内容を、そのまま1枚の紙面に入れようとする傾向があります。そうして作られた資料は作った人にとっては「企画の貯蔵庫」のような内容であるものの、ほかの人が見ると、どこのスペースに何が書いてあり、どこがポイントなのかわかりません。

例えば、あなたが、フランスのブルゴーニュ地方のワイン蔵を訪ねたとします。そこで「さあ、どうぞ」と広大なワイン蔵の前でひとり放置されてしまったらどうでしょう。そのワイン蔵のどこにすばらしい価値のあるワインや新作のワインがあるのか、どの列が不作のワイン樽か、などがまったくわからないはずです。

そこにもし蔵のオーナーあるいはワインソムリエがやってきて、1本ずつ、ワインのストーリーや味わいを説明したとしたらどうなるでしょうか。ワインの初心者や関心がない人にとっても、トピックを1つずつ説明されれば、その魅力も価値も格段に伝わりやすくなります。

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