小学生時に「読解力」の決定的な差が生じる理由 その基礎・基本は学校の授業では教わらない

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次に、以下の図を見てみよう。

(出所)『AIに負けない子どもを育てる』(東洋経済新報社)

ここではAさんがBさんをねたんでいるが、それ以外の人は誰もねたんでいないことがわかる。BさんがAさんからねたまれているが、「誰もが、誰かをねたんでいる」状態ではないということだ。だから、同義ではない。

問題は学校の国語の授業

「そんなに細かいことまで気にしなくてもいいのでは?」と思いたくなるかもしれないが、この差がわからないと、少なくとも、まともに稼げるIT人材にはなれないと著者は主張する。

『AIに負けない子どもを育てる』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします)

ただし、「誰もが、誰かをねたんでいる」と「誰もが、誰かからねたまれている」の差を読み解けなかったとしても、ショックを受ける必要はない。なぜならわれわれの多くは、この考え方を学校で教えてもらっていないからである。

つまり、読解の基礎・基本を学校の国語の時間に教えてこなかったことに問題があるというのだ。とはいえいずれにしても、自分にどれだけの基礎的・汎用的読解力があるのかは確認しておきたいところだ。

そこでぜひ、本書に掲載されているRSTの体験版を試してみていただきたい。それだけで読解力が高まるわけではないが、結果を踏まえて解説を確認してみれば、読解力向上のためのヒントを見つけ出せることはできるかもしれないからだ。

印南 敦史 作家、書評家

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いんなみ あつし / Atsushi Innami

1962年生まれ。東京都出身。広告代理店勤務時代にライターとして活動開始。「ライフハッカー[日本版]」「ニューズウィーク日本版」「WEBRONZA」「WANI BOOKOUT」などで連載を持つほか、「ダ・ヴィンチ」など紙媒体にも寄稿。『遅読家のための読書術――情報洪水でも疲れない「フロー・リーディング」の習慣』(ダイヤモンド社)、『世界一やさしい読書習慣定着メソッド』(大和書房)、『人と会っても疲れない コミュ障のための聴き方・話し方』(日本実業出版社)、『読んでも読んでも忘れてしまう人のための読書術』(星海社新書)など著作多数。

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