MBA経営代表・山田修(Part4)--仮に経営幹部が8人いたら、まずは2人をクビにします

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--クビにする2人、同士2人、残りの4人の見分け方はありますか。

同士になりうる幹部は人間的に尊敬できる人を選んでいます。たとえだまされたとしても、そのときは自分の見る目がなかったのだと思えるくらい、信頼できる人ですね。仕事ができるできないより誠実さです。

ダメな人は、能力がない、忠実でない人。着任前に個人面談、できれば食事に誘って話をし、しっかりと一人ひとりを見極めます。見極められなければヘボ経営者です。

--面談の際に、これを聞けば見極められるといった基準はありますか。

自分の仕事の説明をしてもらいます。立て板に水のような説明でなくていいんです。話がロジカルであることが重要です。話がぐちゃぐちゃして整合性のない幹部は、頭が悪いか何かを繕おうとしているので信じない方がいい。

--見極めが甘く、だまされた経験はありますか。

現存している幹部の見極めを誤ったことはありません。最後まで弱みだったと反省しているのは、採用です。「人を見抜く技術」という私のベストセラー本は、あれはどうだったんでしょうか(笑)。現存する社内の人たちは比べられるし、話している情報についても社内のことなので判断がつきます。ただ、一見さんのような形で外部からやってきて必死で取り繕ってごまかす人は、最後まで上手に見極められませんでした。

--トップの在任適正期間はあると思いますか。

私は平均すると4年くらいずつやっていますが、上場会社の社長の在任期間は4年より短いですよね。同じポジションにいるとバーンアウトしますし、飽きます。ずっとやるのはつらいですよ。

いろいろな会社でいろいろな手を打ちますが、最初の1~2年でメジャーなカードは切ってしまうもの。3年目はフルーツを得たか失敗したかの結果を見ますが、その後は大きな手は打てないんです。経営者として困るし飽きるし袋小路に入るし、4年くらい経つとどこかへ行こうかなと(笑)。あまり一生懸命やらないことですね。社長というのはたいへんなポジションなので、個人格とマネジメントの人格を引き離すことが大切です。ビジネスをやっている自分は別人格だと冷めた形でやると、サバイブできると思います。

(写真:梅谷秀司)

やまだ・おさむ
 1949年生まれ。学習院大学・大学院修士卒(国文学)。 サンダーバード国際経営大学院MBA、元同校准教授及び元日本同窓会長。20年以上に渡り外資4社及び日系2社で経営専門家として社長職を歴任。不調業績をすべて回復させるなどして「再建請負経営者」と評された。フィリップス社長在任中に経営学博士課程を修了し「MBA社長」の異名も。「売れる仕組みと儲かる仕組みの構築」を早くから提唱、組織戦略とコミュニケーションを重視している。ブログ「戦略経営 山田修」を執筆。

■CEOへの道は、エグゼクティブ向けの人材会社・リクルートエグゼクティブエージェント主催のセミナー「Road to CEO」との連動企画です。

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