福島県民を苦しめる巨大ゴミ焼却炉の乱立

除染から中間貯蔵へ。福島はまた大きな苦悩に直面

(撮影:梅谷秀司)

放射能に汚染された廃棄物を集約する「中間貯蔵施設」をめぐり、福島県で悩ましい問題が広がっている。

国が建設候補地とする福島県内3町のうち、楢葉町が「1キログラム当たりの放射能が10万ベクレル超の廃棄物は受け入れない」として実質的に建設拒否を決断したのが1月27日。これを受けて佐藤雄平知事は2月4日、残る大熊、双葉の2町に絞って国に再検討を求める方針を提示した。

両町の町長は回答を保留しているが、町民の間では「先祖代々の土地を国に売る気はない」との抵抗が根強い。来年1月に施設の供用開始を目指す国と、抜き差しならない交渉が続くことになる。

苦渋の決断を迫られている県内の自治体はもっと多い。中間貯蔵施設だけでなく、放射能汚染物の処理をめぐる大小の計画が持ち上がり、自治体や住民が翻弄される事態になっている。

「村長のやり方は『までい』じゃない」

物事を丁寧に行う意味の方言「までい」をキャッチフレーズにしてきた飯舘村の菅野典雄村長は1月26日、村民からこんな皮肉を浴びせられた。村南部の蕨平地区への建設を決めた処理施設に関する住民説明会でのことだ。

この計画は環境省が進めているもので、1日240トンの処理能力を持つ仮設焼却炉などを建設、焼却灰を中間貯蔵施設や管理型処分場が整備されるまで一時保管する。飯舘村内の除染で出た廃棄物や土壌など約14万トンに加え、周辺6市町から農林業系のゴミや下水汚泥を計7万トン運び込む計画であり、原発事故後の汚染物処理で広域的な受け入れ施設建設が決まったのは、福島でこれが初めてだ。

菅野村長によれば、村議会にも説明し、理解を得ているという。しかし、この日の説明会で廃棄物を運ぶトラックが「5~6分に1台」村内を行き交い、施設は「24時間365日稼働する」との説明が出ると、「そんなこと議会では聞かされてない」とあぜんとする村議も。「蕨平の一部の人たちだけで決められてしまった」「全村民に話すのがスジ。この説明会で村民が認めたということにはしてもらいたくない」と反発の声が上がった。

焼却炉の入札はすでに公告され、2月上旬には業者が決定、3月末までに着工し、1年後の来年度末をメドに完成。その後3年程度、稼働させる予定だが、村内の廃棄物量が当初の想定を上回る場合、さらに2年間延長できるとの取り決めが環境省と村の間で交わされている。

蕨平地区は帰還困難区域に指定された長泥地区に隣接し放射線量は高いが、もともとは平穏な里山だった。自宅のある村民の一人は「荒れ果てていくわが家と蹂躙されていく村を見るのは、もう耐えられない。今回の計画は放射能汚染よりもひどい」と失望をあらわにする。

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