住宅ローン「業者の言いなり」で損するカラクリ 面倒でも絶対に検討してみるべきポイント

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「元金均等返済」はいわば“裏メニュー”なので、こちら側から頼まない限り提案されることはほぼありません。なぜなら、「元利均等返済」は、毎月返済額が同じ(均等)でわかりやすいため契約者への説明が簡単で、そのうえ、金融機関の懐に入る利息が多くなる返済方法だからです。

対して、「元金均等返済」は、毎月返済額が変わり説明が少し難しいうえに、利息総額は「元利均等返済」より少なく、金融機関のメリットも小さくなります。その仕組み上、借り入れ当初の支払利息が大きくなり、同じ条件であれば毎月返済額は「元利均等返済」よりも大きくなるため、審査が厳しくなります。

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逆にいえば、その厳しい審査にパスして、借り入れ当初の毎月返済額を無理なく負担できるご家庭であれば、「元金均等返済」を利用すれば支払利息の総額は少なく、毎月返済額がどんどん減ることで家計にゆとりが出るので、メリットいっぱいの返済方法といえるでしょう。

例えば、将来的に教育費負担が重くなる、あるいは、共働きの一方が将来的に仕事を辞めるといった、将来よりも今の暮らしのほうがゆとりのあるご家庭にお勧めです。

以上のことを改めてまとめます。わが家でできそうなことがないか、1つでも多くチェックしてみましょう。

前向きに検討したい住宅ローンの節約技

1.同じタイプの住宅ローンでも、より安いところはないか探してみよう!
□インターネットで住宅ローンの金利ランキングなどを調べてみる
□勤務先に提携ローンがないか調べてみる
□所定の条件(頭金を増やすなど)を満たすと優遇がある金融機関をチェック
2.頭金を増やしてみよう!
□手元に残すお金にゆとりがあれば、もう少し充当してみる
□物件引き渡しまで時間があるなら、家計を見直して貯蓄に励む
□親や祖父母に、贈与を相談してみる
3.返済期間を短くできないか検討してみよう!
□1年でも短くしたほうが、毎月返済額は増えても、支払利息総額が数十万円単位で少なくできてお得に
4.元金均等返済を検討してみよう!
□借り入れ当初の家計に比較的ゆとりがあるなら、前向きに検討してみよう
5.借りた後、繰上げ返済してみよう!
□購入後でも「繰上げ返済」すれば、住宅ローンで支払う総額を効率的に減らせる
竹下 さくら ファイナンシャルプランナー/宅地建物取引士

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たけした さくら / Sakura Takeshita

兵庫県神戸市生まれ。慶應義塾大学商学部にて保険学を専攻。損害保険会社の営業推進部および火災新種業務部、生命保険会社の引受診査部門の勤務を経てファイナンシャルプランナーとして独立。個人向けコンサルティングを主軸に講演・執筆を行う。『「奨学金」を借りる前にゼッタイ読んでおく本』(青春出版社)、『「家を買おうかな」と思ったときにまず読む本』(日本経済新聞出版社)など著書も多数。

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