小学校受験対策「けん玉の攻防」が映し出す本質 試行錯誤で成功も失敗も経て内面の力を磨く

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数が数えられる、字が書ける、ものが覚えられる、論理的思考ができる。こうしたIQ(知能指数)に代表される「認知的能力」の獲得が第一義ではない。本質はIQなどでは測れない人間の内面の力である「非認知能力」の育成にある。

非認知能力は、「意欲」「協調性」「忍耐力」「粘り強さ」「自己肯定感」「計画性」「責任感」「問題解決能力」などの、数値では測れない個人の特性をいう。

国立教育政策研究所が2017年3月に発表した「非認知的(社会的情緒力)能力の発達と科学的検討手法についての研究に関する報告書」をはじめ、近年では、認知的能力の高さだけが人の生涯を左右するのではないという研究・知見も数多く報告されている。

けん玉ができなくても、立派な大人になれる。大事なことは、けん玉を与えられたときから本番の日までに毎日地道に練習を続け、うまくいかなくても諦めず努力をし、なぜ玉が乗らないかを自分で分析し、成功するまで試行錯誤してもがくことなのだ。

そして初めは乗らなかった玉が乗るようになったとき達成感を得られ、成功体験になる。本番までに自分のコンディションを最高の状態に整え、プレッシャーの中で本気を見せる本番力をつけること、本番で玉が乗らなかった者は、悔しさとともにここで小さな挫折を味わうかもしれない。

この挫折も1つの大切な経験。また、自分はうまくいかなかったけれど、仲間を応援する気持ちが芽生える者もいる。すべてはこの過程の積み重ねなのだ。これがまさに「非認知能力」を培うための教育と言えるだろう。

自分の頭で行動するという習慣が大切

小学校受験に挑むには、聞き取った情報をしっかり脳に入れ込み、自分の頭で考えて行動するという習慣をつけることがとても大切である。

試験問題は、行動観察と筆記試験(ペーパー)に大別される。ペーパーの試験内容は数量、言語、図形映像、自然科学、生活常識などの領域に分かれている。

次ページこの問題をこの時期の子どもに解かせる意味は?
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