五輪インフラにも影響、深刻な建設の人手不足 女性と外国人の活用拡大が喫緊の課題
19.4兆円の経済効果を創出し、121万人の雇用を生み出す(森記念財団都市戦略研究所調査)ともいわれる2020年東京五輪。日本経済の牽引役として期待される一方で、深刻な問題が懸念される。施設建設に携わる労働者不足だ。
かつては本来の社会基盤整備機能のほかに、雇用の受け皿機能をも果たしてきた建設業だが、今やその実態は変容している。建設投資額は1992年度の84兆円をピークに、10年度には41.9兆円まで減少した。
大手ゼネコンで構成される日本建設業連合会(日建連)の有賀長郎事務総長は、その原因をこう話す。
「工事受注額が一気に落ち込んだのはリーマンショックのとき。そしてその後の民主党政権と重なる時期にどん底になった。そればかりではない。産業の空洞化で、製造業からの発注も減った」
建設投資の減少は建設業の労働環境を悪化させた。13年における建設業に従事する男性労働者の年間賃金総支給額は全産業男性労働者より26%も低く、社会保険や厚生年金の加入率も低い。29歳以下の若年労働者が全産業平均より少ないのも特徴だ。
最も深刻な問題は、鉄筋工や型枠工などの技能労働者の不足。こうした職種は短期間に技能を習得することが難しく、一人前になるまでに数年から10年はかかるといわれている。後継者不足は深刻で、97年に455万人いた技能労働者の数は、12年には335万人まで減少した。
予備自衛官にも関心
そうした中で、建設業界からは「五輪施設の建設ははたして間に合うのか」といった声が漏れ聞こえるようになっている。
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