東京電力の新たな再建計画は画餅

原発再稼働が遅れたら料金値上げでは反発必至

1月15日に東京電力で記者会見を行った数土文夫・次期会長。4月から就任する

東京電力が原子力損害賠償支援機構と共同で昨年末にまとめた新たな「総合特別事業計画」(以下、総特)が1月15日、経済産業大臣に認定された。

 4月から下河邉和彦会長の後任となる現・社外取締役の数土文夫・JFEホールディングス相談役は同日の会見で、「東電は福島の賠償と廃炉、電力安定供給に万全を尽くすために国民から存続を許されたという原点を肝に銘じる」、「総括原価方式と地域独占に安住した組織運営を大胆に転換する」と宣言した。

改革の手段として、火力・燃料事業での包括的アライアンス(事業・資本提携)による燃料費削減や、50歳以上の社員を対象とする1000人規模の希望退職(グループ全体で2000人規模)、ガス販売や全国規模での電力販売など新事業の拡大などを盛り込んだ。アライアンスについて数土氏は、「たとえ敵対する相手でも手を組むことがあっていい」と語り、国内外で提携相手を選定する意向を示した。

今夏の原発再稼働は非現実的

ただ、新総特は従来の総特と同様、まったくメドの立っていない柏崎刈羽原子力発電所の早期再稼働を前提に置いている。また、再稼働が予定通り今夏から実現できない場合は、今年中にも電気料金の再値上げを実施するという計画になっている。

東電が負担すべきだった除染、廃炉費用に巨額の税金が投入されようとしている中、電気料金の値上げを“人質”にとったような形の原発再稼働計画には、国民からの反発が高まることも予想される。

今回、総特が見直された理由の一つが、柏崎刈羽原発の再稼働が想定から大きく遅れ、収支計画に狂いが生じたことだった。

2012年4月に策定された旧総特では、柏崎刈羽原発の再稼働時期について、1号機が13年4月、7号機が同5月、5号機が同10月、6号機が同12月、3号機が14年7月、4号機が15年2月、2号機が同9月と想定していた。だが、原子力規制委員会による新規制基準適合審査の遅れや、立地自治体である新潟県の泉田裕彦知事は再稼働反対姿勢のため、いまだメドが立っていない。

新総特では、柏崎刈羽原発の再稼働時期について、7号機が14年7月、6号機が同8月、1号機が15年1月、5号機が同2月としている。

2、3、4号機については、07年の中越沖地震後から停止しており、再稼働までにより時間がかかるとして基本的に「未定」とした。ただ、16年度を中心(詳細は未公表)に再稼働した場合の収支見通しを参考として示した。その前提によれば、単体の経常利益は13年度が271億円、14年度が1677億円、15年度が1742億円、16年度が1343億円となるとしている。

だが、今夏の原発再稼働は、現時点ですでに困難な状況だ。

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