協議離婚した男女の9割が不満タラタラのワケ 裁判を避け金も時間も節約して縁を切るには

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中には、納得がいかないものの、とにかく別れたくて、仕方なく協議離婚をした人もいるでしょう。おそらく、その主な理由は3つです。

① 仲裁に入ってくれる人がいなかった
② 調停が面倒だから
③ 弁護士費用がかかるから

昭和の時代には、「仲人さん」という文化がありました。夫婦間に大きな問題が起こると仲人さんに相談し、仲人さんは夫と妻を呼んで確認し、なだめたり、さとしたりしました。しかし今は、仲人さんを立てずに結婚する夫婦が少なくありません。昭和に結婚した、50代以降の夫婦は仲人さんにお世話になったと思いますが、今は仲人さんが高齢になり、相談できる状態ではなくなっているかもしれません。会社の上司に仲人さんを頼み、その後疎遠になった人もいるでしょう。仲人さん文化の消滅も、離婚の増加の一因かもしれません。

では、友人知人に仲裁に入ってもらうのはどうでしょうか。「夫婦喧嘩は犬も食わない」というくらい、昔から夫婦関係には口を出してはいけないといわれています。若い人たちには、そもそも友人に迷惑はかけられない、誰にも言えないと、私たちのようなカウンセラーに相談する人もいます。しかし残念ながら、私たちカウンセラーは夫婦の仲裁ができません。なぜなら弁護士法72条(注1)で禁止されているからです。

(注1)弁護士法72条では次のように定められています。
「弁護士でない者は報酬を得る目的で法律事件に関して鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務を取り扱い、又はこれらを周旋することを業とすることができない」(抜粋)
必要以上に揉めている2人を諭して、和解をさせたら非弁行為となってしまい、罰金300万円以下または懲役2年以下となります。

弁護士を立てて離婚手続きすると心が折れる

私たちカウンセラーは、夫婦がもめ始めた場合、弁護士さんを紹介しています。離婚業務はチーム連携で行うことがとても大切です。弁護士さんから配偶者へ連絡をしてもらうと、配偶者も弁護士さんを立て、直接話し合いができなくなります。これはなかなか不自由なものなのです。

また、家庭のことを書面でやりとりするのは実に滑稽で、心が硬直します。夫婦喧嘩をし、メモで会話をしたことがある人もいるかと思いますが、弁護士さんが間に入ったときの「残念な感情」はそれ以上。「内容証明」から始まり、相手の弁護士名で来る連絡には心が折れるものです。それでもらちが明かないと、話し合いは法曹の手に渡り、調停を経て裁判となるのです。

裁判は「書面合戦」となります。夫婦のすれ違いは「争点」というタスクに代わり、争点=タスクをいちいち書面によって証明していきます。恋をして愛を育んだ2人が、原告・被告として、お互いを書面でたたき合う。そこにグレーは存在しません。あくまでも相手を「黒」として潰し合うのです。

「おまえはバカだ! できない女だな」と言われれば、腹が立つでしょう。この「バカでできない女」の証拠を書面でつきつけられたら、例えようのない気持ちになります。そんな陳述書を、家族や関係者に書かれたことで、「死」を考えてしまう相談者もいます。

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