日経新聞が2期連続大幅減益、部数増でも赤字転落の危機

日経新聞が2期連続大幅減益、部数増でも赤字転落の危機

1年で1万部増の306万部(2008年12月実績)と、全国紙5紙の中では唯一部数増を遂げているのが日本経済新聞。しかし、業績は急悪化している。同社の08年12月期単独決算の税引き前利益は前期比61・5%減となった(正式発表は3月末)。その主因は前期比で13%減少した広告収入。さらに退職給付費用の増加などもマイナスインパクトとなり、期中に行った30億円に及ぶ緊急経費削減策をもってしても大幅減益を免れなかった。他の新聞社と異なり、日経には紙以外の収益源であるQUICKなどのデジタルメディア事業があるのだが、こちらも株式市場の低迷に伴い落ち込んでおり、連結決算も大幅減益となる見通しだ。

この1月に始まった新年度も、税引き前利益は54・7%減の約50億円を見込む大幅減益予算だ。タイミング悪く新本社が竣工するため、減価償却費急増に加え、年金資産の運用落ち込みによる人件費増が響く。しかも、この予算は広告収入が08年並みに確保できることと80億円の経費節減を前提とした楽観的な数字だ。1月には広告局をクロスメディア局と改称し、4月以降の営業力強化に向けた大規模な組織改変を準備しているものの、そもそも自動車、電機など大手上場企業への広告依存度が高く、中小を掘り起こすような営業力は弱い。大手企業の広告削減が続けば、赤字転落もありうる。

引っ越しは社員1人 段ボール2箱まで

業績急悪化を受け、せっかくの新本社のレイアウトも様変わりしてしまった。従来は全フロアを日経が利用する予定だったが、社員1人当たりのスペースを圧縮することで3フロア分を捻出。三井物産に貸し出すことが内定している。その分、不動産賃貸収入増を見込むわけだ。

シワ寄せを食うのは社員だ。5月末までに行う引っ越しの際、持ち込みが許される荷物は、1人段ボール箱2箱のみ。中堅記者ともなれば過去の取材ノートだけで軽く2箱になるため、多くの記者が過去の資料をデータ化するなどして荷物の圧縮を進めているところだ。

昨年4月に就任した喜多恒雄社長は、3500人いる単体の社員を自然減により早期に3000人体制へ圧縮することを表明。10年春には、より成果主義の要素を強くした新人事体系を導入する。同じ10年春に待望の新事業、有料電子新聞をスタートさせる計画もある。はたして、守り(経費・人件費削減)と攻め(新規投資)の二兎を追うことはできるのだろうか。


(週刊東洋経済)
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