増える「不本意型非正規労働者」
総務省「労働力調査詳細集計」によると、2008年7~9月の非正規雇用者数は1779万人。正規雇用者数が07年10~12月期から前年同期比マイナスになっているのに対し、直近(08年7~9月期)まで増加を続けている。雇用者総数に占める割合も34.5%に上昇した。景気が底を打った02年1~3月期から08年7~9月期までの間に、雇用者総数は273万人増えたが、非正規労働者の増加はそれを上回る373万人となっている。
もっとも、非正規労働者の雇用形態は多様であり、一概に増加を好ましくないと断じることはできない。より大きな問題をはらんでいるのは、柔軟な働き方として非正規の雇用形態を選択した層ではなく、正規の職員・従業員を希望したにもかかわらず、現実には非正規労働者として就業している層と考えられる。
みずほ総合研究所では、正社員への転換を希望する非正規労働者の割合を厚生労働省の調査結果から男性28%、女性20%と算出。この割合を非正規労働者数に乗じ、07年時点の「不本意型非正規労働者」を417万人と推計している。統計データの制約から就業形態別には推計されていないが、非正規の中でも正社員への転換希望割合が4割前後と高い派遣社員や契約社員のウエートが高まる一方で、昨年秋以降、雇用の安定性は急速に低下しており、こうした「不本意型非正規労働者」は増加傾向にあるとみられる。
(週刊東洋経済 撮影:尾形文繁)