しかし、本当に大変だったのはこの後でした。船酔いから回復して、「よし働くぞ!」と思っても、そう簡単にはいきませんでした。
Ready on the main downhaul!
Get the hourly!
What’s ADCP?
Make it fast!
We’ll give!
と、指示を出されても訳がわからず、おろおろするばかりだったのです。私が船酔いでダウンしている間に、すでに船酔いから回復していたほかの皆は、デッキの仕事とか、実験の方法とか、データシートの記入の仕方とか、ライン(帆の揚げ下げをするときにひっぱる縄のことです)などをもう覚えていました。私は大幅に遅れをとっていたのです。
私が基本的な作業ができていないと、「なんでできないの?」という目線を向けたり、“Here !”と言って私から仕事を取ってしまったりするメンバーもいて、もどかしい思いをしました。
役に立ちたいと思ってもできず、やる気のないやつと見られてしまうのは悲しかったですし、うまく英語が使えず(特に帆船独特の言い回しがわからず)誤解を生むこともあり、孤独な思いをしました。
自分の弱点を認める
「もう嫌だー!」と思った(かつ、海に向かって叫んだ)のですが、
(1)頑張って追いつく
(2)海に飛び込む
の2択しかなく、(1)を選びました。
始めのうちは、初歩的なことを聞くのが恥ずかしく、何をやっているのか自分でもわからないまま、さまざまな作業をやっていました。が、実際何もできておらず、グループの皆からも、「適当なやつ」「使えないやつ」という認識をされてしまいました。
そこで、「船酔いが原因であろうと、単に怠けていたからであろうと、『できない』という事実は同じなのだから、自分ができないことはできないと認めて、きちんとほかの人に聞こう」と思うようになりました。
そんなわけで、船酔いがどうだとか非生産的な言い訳をするのはやめて、「ここはわかったのだけれど、ここはわからないから教えてくれる?」と友達に聞くようになりました。
始めのうちは、めんどんくさいやつと思われていたのですが、自分から積極的にコミュニケーションをとることで、早いスピードで皆に追いつくことができるようになり、6日目頃からは皆と同じように作業ができるようになりました。
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