一生のうち必要なお金は一体どれくらいなのか 貯金から投資へシフトしお金に働いてもらう

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Q: もしかして私は、親のように豊かに暮らせない……?
A :時代が変わったから、比べる意味はありません

マイコさん:老後までにもお金がかかりすぎるし、老後だってお金がかかるし……。やっぱり不安しかないです……。親世代は、どうしてあんなに裕福なんですか?

横山:国税庁が発表している『民間給与実態統計調査』をもとに作った30代後半の年収の推移を見てみると、団塊世代といわれるマイコさんの親世代が働いていた1970~1990年代は右肩上がり。一方、マイコさんが働き始めた2000年以降は減少傾向にあるわ。

マイコさん:えーっと、最も高かった1997年(498.8万円)と2017年(442万円)を比べると……年収でマイナス約57万円。毎月の給料にしてみると、約4万7000円も減ってる! 確かに働き出してから潤っている感覚ってないんですよね……。

税金や社会保険料負担も増す一方だ

横山:そう感じるのはアナタだけじゃないはずよ。税金や年金、健康保険などの社会保険料が上がってきているから、たとえ収入が変わらなくても以前と比べると手取りの所得は減っているの。

マイコさん:え! 知らないうちに手取り額が減っているんですか!

横山:消費税も少しずつ上がっていて、2019年10月には10%に上がるという報道があったわね。買い物するたびに税金を払っているわけだから、同じ内容の買い物をしても、出費は増えているわ。

マイコさん:ううっ。またランチ代を節約しなくちゃいけなくなる……。子どものころから、一軒家に住んで、お父さんが運転する車で週末はお出かけ、毎年家族旅行をして、兄妹そろって大学に行かせてもらって……普通だと思っていたけど、今の時代、そんな生活は一部の人の話ともいえるのか……。

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横山:高度経済成長期からバブル期にかけての日本は、上昇気流にのって物価もグングン上昇、給料もどんどん上がって、将来の収入の伸びが明確だったから、ローンも返せる。みんなイケイケだったわ。戦後のどん底がスタートだから大躍進よね。

マイコさん:数十年という短期間で先進国の仲間入りをしたんだから、スゴイ!

横山:そんな上昇気流の時代に比べると、今の日本は先進国として成熟しているといえるわ。バブル崩壊やリーマンショックがあったけれど、物価は比較的安定しているし。これがどういうことかわかる?

マイコさん:??

横山:時代とともに生活のベースが変わったということ。だから、親世代の生き方と比べること自体に意味がないの。戦後と違って今は食べる物に困らないし、車は買わずにリースできるようになったわ。ネットでポチっと買い物ができるし、わざわざ会いに行かなくてもメールやSNSでやりとりができる時代になった。経済の仕組みが大きく変わっているから、価値観も多様化していて、結婚や子育てを選択しない人も増えているわね。

マイコさん:ということは、人によっては一生にかかるお金は1億8000万円じゃないかも?

横山:正解! そこに気がつくことが大切よ。

横山 利香 国際テクニカルアナリスト

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よこやま りか / Rika Yokoyama

国際テクニカルアナリスト連盟認定テクニカルアナリスト(CFTe)、ファイナンシャルプランナー、相続士。株式投資や不動産投資等、資産運用や投資をテーマにした執筆、講演活動を行う。おもな監修に『月2000円から! 誰でもカンタン投資生活』、『図解10万円から始める! 誰でもラクラク株投資生活』(ともに辰巳出版)などがある。会社四季報オンラインで『横山利香のスイングトレード日記』を連載中。

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