東証1部「上場基準の厳格化」が与える巨大衝撃 降格企業が多数続出? 来年4月にも実施へ

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検討当初は1500億円、1000億円、500億円の3案のどれも有力とされた。どの案でも社数ベースでは半分以上が1部から脱落する一方、時価総額ベースでは約9割を維持できるが、現在では500億円の案に収れんしつつある。

1月末の時価総額で見ると、時価総額で最大なのはトヨタ自動車の約22兆円。以下、NTTドコモ、ソフトバンクグループ、NTTが9兆円台で続く。一方、最小は家庭用LPガス容器最大手・中国工業の19億円。ディー・エル・イー、ボルテージなどのベンチャー企業も約30億円台と小粒だ。

東証1部上場企業の時価総額は平均2817億円である一方、中央値は457億円。この平均値と中央値の乖離は、時価総額の大きな企業が存在する一方、時価総額の小さな企業がひしめいていることの証拠だ。

時価総額500億円近辺で目立つのは地銀である。琉球銀行、宮崎銀行、東京きらぼしフィナンシャルグループ、中京銀行、四国銀行が400億円台後半。三十三フィナンシャルグループ、愛媛銀行が400億円台前半に位置する。

「地銀は地方経済の金融インフラとしてなくてはならない存在である一方で成長性に乏しく、東証1部全体の成長性に悪影響を与えている。とはいえ無理に成長しようとすればスルガ銀行のような不祥事を起こしかねない。新1部を成長企業の上場市場に作りかえるのならば、東証にとっても地銀にとっても、地銀は新1部に残らないほうが双方ハッピーではないか」(市場関係者)との声も上がる。

ガバナンス基準は社外比率が有力

時価総額基準以外ではコーポレートガバナンス(企業統治)基準の導入を期待する声も少なくない。ガバナンスの数値基準として有力なのが、社外取締役の比率(社外比率)だ。「3分の1以上」が目安となりそうだ。

1部上場企業で社外取締役比率が最も高いのはHOYAの85%。カルビー、スミダコーポレーションも80%台だ。ソニー、三菱自動車、昭和シェル石油、スクウェア・エニックス・ホールディングス、日立物流、レノバ、アニコムホールディングス、アステリア、アイビーシーは75%。4人に3人は社外取締役である。

同じく最も低いのは、くらコーポレーション、サイボウズ、クボテックで0%。大手企業でも住友不動産が9%、東レが10%と低い。

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