被災地発の自転車イベントはなぜ実現したか 巨大イベントを実現させた、もうひとりの"爆速男"

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今年初開催の1500人規模の自転車イベントはなぜ成功したか?

「今日、決意した。本格的な自転車レースを日本でプロデュースする」

これはヤフーの現社長・宮坂学が、2011年5月10日、つまり社長になる以前に、個人のフェイスブックに投稿した宣言だ。

もともとスポーツ好きで、自身もサイクリストである宮坂だが、震災から2カ月経った頃、何か思うところがあったのかもしれない。

今年11月3日、河北新報社とヤフーの共同主催で開催した「ツール・ド・東北 2013 in 宮城・三陸」。実は、そもそもの発端は上記の宮坂の私案から生まれたものだった。

自社の企画だけれど、あえて言いたい。「ツール・ド・東北2013」、めちゃめちゃよかった! 大成功だったと言っていいと思う。

今回、僕は事前に石巻メンバーとも相談して、ほかの業務を手薄にしすぎないようにあまり深くかかわらないようにしていた。ハタから見守るようにしていたから、客観的に見えていた部分もある。その視点で、さらに地元の人たちの反応も含めても、「ホントによかった」と言える。

そもそもリアルのイベントはド素人だったヤフー初の主催大会だ。にもかかわらず、全国からおよそ1500人の参加者が集まり、石巻や女川、南三陸を舞台に、ほぼ全員が「さわやかに」完走したのだ。

今回は順位やタイムを競うレースではなく、楽しく走ることを目的としたファンライド形式だった。石巻専修大学をスタート&ゴールとして、南三陸町までの最長約160キロメートルのコース上には、地元の海産物などを楽しんでもらう休憩ポイント(エイドステーション)を数カ所設置した。

「ただ走って帰る」大会とは違う

「自転車で激しく走りながら、海産物を食べるんですか?」

当初はいぶかしげにしていた、屋台番長(長谷川)

自転車のことも、こういうイベントのこともよくわからない僕は、そんなふうに担当者たちに対して、いぶかしげに質問を投げたこともあった。大会前日、急きょスタート&ゴール地点の屋台番長に任命され、「さんざん走って食べて来るのに、さらに屋台で食べ物って売れます?」と、これまたいぶかしげに質問したりした。

が、エイドステーションの海産物も、石巻専修大学の屋台もすべて売り切れ!参加者のみなさん、ものすごくいい笑顔で、「ほんっとにおいしかった! ごちそうさま!」と言ってくれたのだ。

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