男女とも敬遠「女性管理職」への大いなる誤解 「名ばかり管理職」は損ばかり?

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登用した会社のほうも、彼女たちが100%成功するとは思っていません。できることと、できないことがあるのは当然です。できないことに出会ったら、誰かに教えてもらう、分担してもらう。抱え込んではいけません。

自分の裁量で決定できることが増える

管理職になっていちばん私がありがたかったのは、チームで仕事ができることです。自分の不得意な仕事を部下に任せて、自分は自分の得意な分野に集中すると生産性が格段に向上しました。そのほかにも管理職になると「いいこと」がたくさんあります。

自分の裁量で決定できることが増えてくるのは最大のメリットです。一定の経費が使えますし、会議や打ち合わせは時間内に済ませるなどという小さいことから始まって、決済に必要なハンコが減る、カウンターパートがそれなりに決定権を持つことになるので、話が早くなります。会社や組織の方針や現状に関する情報が入ってくる、知り合いが増える、社内での注目度が上がるだけでなく、社外のネットワークも広がる、などなどのいいことを体験するとわかります。

中間管理職について、「部下と上司の板挟みでつらい」「責任が大きくなってうつ病になる人もいる」「残業代がなくなるから実質収入は増えない」といったネガティブな情報も聞くでしょう。でもそうした面だけではありません。

中間管理職は、現場で組織を動かしているのです。私のキャリア人生を振り返っても部下と苦楽を分かち合い、プロジェクトを成功させるために根回しを行い、上司を説得するために知恵を絞っていた中間管理職のころは楽しかったなと思います。

ぜひ多くの女性に、一歩前に踏み出してほしいと思います。

坂東 眞理子 昭和女子大学総長

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ばんどう まりこ / Mariko Bando

1946年、富山県生まれ。東京大学卒業後、1969年に総理府(現内閣府)に入省。内閣広報室参事官、男女共同参画室長、埼玉県副知事、在オーストラリア連邦ブリスベン日本国総領事などを歴任。2001年、内閣府初代男女共同参画局長を務め、2003年に退官。2004年から昭和女子大学教授、2007年から同大学学長、2014年から理事長、2016年から総長を務める。著書に330万を超える大ベストセラーになった『女性の品格』ほか多数。

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