アマゾン無人機配送が抱える、多くの問題

セキュリティ、プライバシーに懸念

12月2日、米アマゾン・ドット・コムのベゾスCEOは、小型無人機を使って顧客に商品を配送する案を明らかにしたが、実現までににはまだかなりの時間が必要だろう。写真は同社の無人機。写真はアマゾン提供(2013年 ロイター)

[シアトル 2日 ロイター] -米ネット通販大手アマゾン・ドット・コムのジェフ・ベゾス最高経営責任者(CEO)は1日、小型無人機を使って顧客に商品を配送する案を明らかにし、世間を驚かせた。しかし、この大胆な計画が実現するには、まだかなりの時間が必要だろう。

ベゾス氏の説明によると、この技術は「オクトコプター」と呼ばれる無人機を、事前に設定された住所へ自動的に飛行させるというもので、開発はなお初期段階。また、米政府が民間の無人機利用に関する規定を整備するのは、早くても2015年だという。

加えて、この計画に対してはプライバシーをめぐる懸念もあり、一部からは単なる宣伝行為だと冷ややかな受け止めをされている。

米CBSのニュース番組「60ミニッツ」でベゾス氏は、ラジコン程度の大きさの小型ヘリが購入者の庭先に小さな荷箱を静かに下ろすビデオを披露し、インタビュアーであるチャーリー・ローズに「SFみたいに見えるが、そうではない」と語った。

このビデオが放映された日は、1年で最もネットショッピングが活況となる日である感謝祭明けの「サイバー・マンデー」前日で、消費者にアマゾンの存在を印象付けることにもなった。

ベゾス氏によると、同社が「プライム・エア」と名付けたこのサービスは、荷物の重さが最大2.3キロ、届け先が同社の物流センターから半径16キロ、30分以内にある場合に利用できる。

同氏は、開発にまだ数年が必要で、米連邦航空局(FAA)も2015年までは無人機に関する規定を設ける予定はないだろうと説明した上で、サービスが導入されるとしても「まだ数年も先のことで、すぐに実現するとは思ってほしくない」と断った。

ただ、長期的なプロジェクトでも根気強く取り組むことで知られるベゾス氏は、一方で楽観的な見方も示し、「4年や5年で可能になるのか。私はそうなると思う。実現すれば、大いに楽しくなるだろう」と期待を膨らませた。

安全性とプライバシーへの懸念

無人機を使った配送サービスのアイデアは、全く新しいというわけではない。ニュースサイト「TheVerge」は先月、オーストラリアの教科書レンタル会社「Zookal」が来年にも無人機を利用して国内の顧客に本を配送する計画で、その後米国にもサービスを拡大する可能性があると報じた。

しかし、同社やベゾス氏は既に、多くの問題に直面している。

例えば、英国工学技術学会(IET)は、こうした民間無人機利用の動きに、技術的な改良がさらに必要だと直ちにくぎを刺した。IETのランバート・ドッピング・ヘペンスタル氏は無人機の世界的な利用拡大を提唱する人物だが、「克服すべき課題はたくさんある」と指摘。「最も重要なのは、技術を十分向上させ、無人機が私たちの周りで安全に利用できることを規制当局に示すことだ」と言う。

米当局も、無人機の商業利用を求める動きがあることは認識しているが、必要な規定の整備を急ぐ構えは見せていない。FAAは現在、無人航空機システム(UAS)の使用を公共団体に対して個別に認めているだけだ。

FAAは2日、電子メールで声明を出し、「増加する要望に対応するため、今後数年間でUASの安全に関する規定や基準を整備する」との方針を示した。

FAAでは年内にも商業用UASの試験を始め、来年に小型機に関する規制を提案する計画だが、つまり2015年までは具体的な枠組みが整備されないことを意味する。これまでのところ、商業用UASの運営者はわずか1例しか認められておらず、その場所は北極地域だ。

一方、ベゾス氏が明かした計画には、ほかにもさまざまな反応がある。

無人機による国内監視活動を禁止する法案を成立させようとする民主党のマーク・ウダル上院議員(コロラド州選出)は、声明でプライバシーへの懸念を表明。「コロラド州の市民は、自分たちのプライバシーが守られ、国民が民間UAS運営者による監視やプライバシー侵害の犠牲にならないことが確信できた場合にのみ、この技術を受け入れる」と強調した。

航空産業の専門家でティール・グループのアナリストでもあるリチャード・アブラフィア氏の反応はより単刀直入。無人機配送計画が「驚くほどばかげたアイデアなので、彼らがある種のさえた風刺として語っているようにも思える」と、ばっさり切り捨てた。

(原文:Bill Rigby記者、翻訳:橋本俊樹、編集:梅川崇)

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