早稲田大学が「起業インターン」を始めたワケ 営業利益の25%を学生に支払うほど実践志向

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起業インターンは今年9月に始まった。実際に会社を設立するわけではないが、参加する3チームは会社に見立てられ、1年をかけて一連の起業のサイクルを体験していく。インターンの事業費は100万円。各チームには「資本金」としておよそ30万円ずつが振り分けられ、商品開発から営業・販売・管理までを実践する。

顧客の声を聞いて事業を修正する

3チームの事業内容は、「起業家とエンジニアのマッチング」「VR(仮想現実)を活用した会議システム」そして「大学など研究室が利用する試薬の共有管理検索プラットフォーム」だ。

その内容は意外にもかなり現実的だ。たとえば試薬のプラットフォームビジネスは、大学の研究室で試薬が余っていたり、管理のために面倒な事務作業に追われていたりする現状に着目。試薬を必要とする人と不要とする人をマッチングする。

インターンが始まっておよそ3カ月。現在は想定顧客の声を聞きながら、サービスをブラッシュアップしている段階だ。「試薬」チームでは、研究室から話を聞いてみると、これまでと違う方法で試薬を入手することに懸念を持っていることがわかってきた。実際のビジネスと同じように、当初のアイデアがそのまま事業になるとは限らない。今後もできるだけ多くの想定顧客から話を聞くつもりだ。

参加する学生は商学部の学生が中心だが、理工学部や人間科学部、社会科学部など他学部からの参加も少なくない。「将来は起業したい」「通常のインターンとは真剣味が違う」「メンバーとはほぼ毎日顔を合わせている」。学生に話を聞くと、その熱心ぶりが伝わってくる。中には「起業に関心はなかったが、チームで取り組むことの重要性を認識できた」「実践してみてもっと勉強したいと思うようになった」といった声もあった。

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