AKB48「大西桃香」、動画配信で覚醒した612日 朝5時半から始まるシンデレラ・ストーリー

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「知名度は中井りかちゃんのほうが上だけど、SHOWROOMに関しては絶対に負けたくなかったんです。もう必死だったんで、最後の3日間ぐらいは、朝の5時から夜の12時までずっと配信していました。あのときはすごくしんどかったんですけど、ファンの方のほうが多分大変だったと思います。あそこを乗り越えたからこそ、ファンの方との絆も深まったし、今では笑って『あれ、ヤバかったよな』と言えるので、いい思い出ですね」

このイベントの結果は総選挙自体には影響しないもので、前述したように昨年の総選挙でも圏外だったが、圧倒的ながんばりは報われた。このイベントの上位16人が歌う楽曲『プライベートサマー』で、1位の大西さんがセンターを射止めたのだ。

「朝5時半の女」の快進撃はさらに続く。2017年10月17日にはSHOWROOMにて、「AKB48 Team 8 大西桃香『5時半配信』1周年記念特別配信」が行われた。その際、サプライズで写真集の制作が発表された。それまで口にしていなかった夢が叶った瞬間だった。

「AKB48に入ってから、ずっと写真集を出したいと思っていました。でも私はペーペーなので、そんな人間が写真集を出したいなんていうのもおこがましいし、お前なんかがって思われるのが恥ずかしくて、誰にも言ってなかったんです。その夢をこういう形で叶えていただいて、本当に嬉しかったです」

「継続は力なり」と「早起きは三文の徳」。誰もがその意味を知りながら行動に移すのは難しい、この2つの格言を体当たりで実行し、効果を実証したのが大西さんだ。

2つの言葉はいつしか大西さんのモットーになり、写真集の発売が決まってからも、朝5時半の配信は続いた――。こう書くと、大西さんがもともと地道にコツコツと積み上げるタイプだからこそできることだと思われるかもしれないが、実は真逆の性格だ。

なぜ無類の飽き性が奇跡を起こせたか

「子どもの頃から続いたことが何もなくて。部活も1カ月とか、1年とかで辞めちゃったし、めちゃめちゃ通いたかった塾も、入って1カ月でフェードアウトしたり。ドラマも観られないんですよ。毎週定期的に観るというのが面倒くさくて続かないんです。だからSHOWROOMがこんなに続いたのは、自分の中ですごい奇跡みたいな感じ(笑)」

SHOWROOMの前田社長とは「よっしゃ!」の精神が合う(撮影:今祥雄)

自分自身が無類の飽き性で、こだわりも薄いということを自覚している大西さんが、なぜ5時半からの配信を継続できたのだろう? 大西さんは「後先を考えずに楽しんで配信していたら、たまたまこんなに続いちゃって」と言うが、自力で起こした奇跡には理由があるはずだ。そのヒントは、次の言葉にある。

「SHOWROOMの前田さん(=前田裕二社長)とお話しさせていただいたときに、私はぜんぜん頭はよくないんですけど、感性はちょっとだけ似てるなと感じて。前田さんが会社員として働いていたとき、一番最初に会社に行って、自分で電気をつけて、『よっしゃ!』ってなるタイプだったらしいんです。私もレッスン場に一番について、最初にストレッチすると、『よっしゃ!』ってなるんですよ。レッスン中、みんながしんどいなってなっているときに、自分だけテンションを上げたり。そういう話をしたら、前田さんも共感してくれました」

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