日本発「10万円ダウン」は海外で支持されるか ゴールドウインがNorth Faceのノウハウ投入

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ゴールドウインは「ヘリーハンセン」や「カンタベリー」など、海外のさまざまな有名ブランドを国内で展開している。海外商品を単に輸入販売する代理店商売ではなく、各ブランドから国内での商標権やライセンスを取得し、同社が自らの手で日本人向けの商品を作っている。

中でも大成功したのが前出のザ・ノース・フェイスだ。本国では登山用の実用着が中心だが、日本版ノースは普段使いできるアウトドア仕様のファッションブランドとして大ヒット。特に20~40代の男性の間で人気が高い。WPラヴォリが協力を仰いだのも、そうした日本版ノースにおける商品企画力を高く評価したからだ。

日本版ノース・フェイスの技術を駆使

新アウトドアラインは、ゴールドウインが設立した100%子会社のウールリッチジャパンが担当。素材の選定から細かな仕様決め、さらには協力工場を活用して製造も手掛けた。この秋冬シーズンから店頭に並び、グローバル展開商品として国内外で販売される。

ゴールドウインの本間取締役(左)とウールリッチジャパンの川田社長(右)。「ウールリッチ事業を通じて、海外展開のノウハウを得たい」と本間氏は話す(記者撮影)

「ファッションとアウトドア、両方の付加価値を取り入れたものにしたいというのがWPラヴォリからの要望。細部の作り込みまで徹底的にこだわり、ノースで培った技術をかなり投入した」。ウールリッチジャパンの川田慎二社長はそう話す。素材や縫製技術に精通している川田氏は、昨秋までノース事業の副部長を務めていた。

たとえば、新ラインにおける最上位モデルのダウンジャケット(定価は税込み12万円弱)。ブランドの顔ともいえる定番商品「アークティックパーカ」をベースにしたモデルだが、ゴールドウインの手によって、本格的なアウトドア仕様に仕上がった。

表地には防水透湿性に優れた米ゴアテックス社の厚手の生地を採用。中のダウンは2層構造とし、肌に近い内側には遠赤外線効果を持たせたハイテク天然ダウン、結露が生じやすい外装側には湿っても保温性が下がりにくい人工ダウン(化繊綿)を使った。しかも、冷気が入る縫い目を極力減らすため、袋状に織った特殊な裏地の中にダウンを入れるというこだわりようだ。

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