インスタ中毒な人をたくさん生んだカラクリ 「なじみ感」×「ネットワークの力」がカギ

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最も新規性が高いいくつかの研究は、評価が最低だった。「新しいものは、誰からも好まれません」と、研究チームのリーダー、カリム・ラクハニは言った。「専門家はどうしても、自分と同じ分野の研究計画に過剰に批判的になります」。

次に、非常にありふれた内容の計画は、それより多少ましではあったが、評価は高くなかった。最高の評価を得たのは、「多少新鮮味がある」と評された研究計画だった。発想には「最適レベルの新しさ」というものが存在するのだと、ラクハニは言う。つまり、先進的だけれども、受け入れてもらえる程度の新しさである。

研究計画の新規性と評価スコアの関係(図:『ヒットの設計図――ポケモンGOからトランプ現象まで』より)

「最適レベルの新しさ」が好まれる状況は、ヒットメーカーの世界全般にわたって見られる。映画のプロデューサーも、アメリカの国立衛生研究所の科学者たちと同じように、毎年何百という企画を評価して、その中のほんのわずかを採用することしかできない。シナリオライターたちは、プロデューサーたちに注目してもらうために、わかりやすく聴衆に訴える登場人物や筋書きにしようとして、有名な作品を組み合わせてオリジナル作品を作るということをよくやる。たとえば『タイタニック』は、沈む船の上の『ロミオとジュリエット』だし、『ペット』は、動物たちがしゃべる『トイ・ストーリー』という具合である。

エアビーアンドビーは「家のイーベイ」?

大量に持ち込まれるビジネス企画書をベンチャー投資家がふるいに掛けるシリコンバレーにおいても、同様の流儀が行き渡っていて、ほとんど冗談のようだ。部屋の賃貸を行うエアビーアンドビーはかつて、「家のイーベイ」と呼ばれていたし、オンデマンド配車サービスのウーバーやリフトはかつて、「車のエアビーアンドビー」と言われていた。またウーバーが有名になった後は、新規参入のベンチャーがいくつも、自分たちを「○○のウーバー」と名乗った。

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