NEXT GAFA?世界で挑戦を続けるメルカリ 「売るために買う」消費行動の変化をもたらす

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出品されているものも、車からファストファッションまでさまざまですし、キャンプ用品もあれば、廃盤品や絶版本などもあります。ITリテラシーの高い人や、特定の所得層だけでなく、お子さんから大人まで、それぞれの目的に応じて利用する「みんながお店屋さんになれる世界」を作ったと言えると思います。

ちなみに、メルカリで売れた最高額の商品は、315万円のダイヤモンドです(2018年9月5日時点)。社員としても驚きましたが、それほど高額なものでもアプリ上で売り買いされる信頼感は、安心・安全なサービスに育っているとも言えます。

採用競争力を上げるには?

GAFAは4社とも社会的な使命をより求められていくというフェーズに入っていると思います。

『the four GAFA 四騎士が創り変えた世界』では、グーグルのことを「神」と表現していますが、悪意を持てばいくらでも社会をコントロールできてしまう。フェイスブックの言論統制問題などもそうです。メルカリもやはり社会からどう見られるか、なにを求められているのかということは、多くの方に使われるサービスとして、強く意識して考えなければなりません。

たとえばグーグルジャパンでは、女子中高生向けにプログラミングを教えるような取り組みをしていますが、メルカリも高校生向けのイベントをスポンサードするなどしています。直接的な採用のブランディングというよりは、間接的にエンジニア人口を増やしていくという観点で積極的に取り組んでいます。

――石黒さんは採用ご担当としてGAFAの人材戦略をどう見ていらっしゃいますか。

GAFAは人材獲得の面では、優れていると思っています。報酬ひとつとっても強い。シリコンバレーと日本では生活水準が違いますから、単純な給与の比較はできませんが、株式報酬をうまく使うような仕組みは、日本の企業が見習えるところではないかと思っています。

そして、GAFAには優秀な方が集まっています。基本的に「人」なんですよね。人がなにを生み出し、なにを売るか。採用活動を通してつくづく感じていますが、もはや「2人いれば2倍になる」という単純な世界ではなくなっています。2人で5倍、5人で50倍ということも可能な環境を社内に整えて、採用競争力を上げていく必要があるでしょう。

――GAFAは人材戦略の特徴として、日本企業にはあまり見られない多様な人材を獲得していると言われます。

そうですね。メルカリでは、「mercari R4D」という研究開発組織を立ち上げて、量子コンピューティングなど、いますぐアプリに実装するわけではないけれども、将来的に必要になる技術を開発するために研究者を採用しています。

GAFAは秘密裏に開発を進めていることが多くあると言われていますが、mercari R4Dは、筑波大学の落合研究室、東京大学の川原研究室などとパートナーシップを組んで、オープンな共同開発をいくつか同時並行で進めています。

メルカリも、かつては「人事」「広報」など一般的にわかりやすい採用枠が多かったのですが、企業体力がついてきたこともあり、この半年ほどで、コピーライター、ビデオグラファー、日本語教師など多様な人材を採用するようになりました。霞が関の政策対応、という人材もいます。メルカリには「新たな価値を生みだす世界的なマーケットプレイスを創る」というミッションがありますが、みなさんそこに共感してくれている仲間です。

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