ブーム化する「ちょい飲みの現場」を見に行く 大阪・梅田のデパートは酒飲み天国

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しかし、安さでいうなら阪神百貨店に軍配が上がるだろう。こちらも2018年にリニューアルオープンした「スナックパーク」。地下1階のスペースに13店が並ぶ。触れ込みは「ほぼワンコイン」(アルコール除く)、食い倒れの街らしく安さで勝負だ。

基本は立ち食い・立ち飲みで、もちろん名物イカ焼きやちょぼ焼き、お好み焼きが一堂に会する。むろん、飲みも安い。筆者が注文した魚の店は、5種盛りの刺身におでん3種、ハイボールがセットで1000円という破格値。つまみのボリュームがハンパなく、酒のお替わりが必須なほどだ。

また、540円で30分間ワイン飲み放題というお店は、ボトル数本をそのまま客に渡して注ぎ放題(つまみ1品のオーダーは必要)というシステム。しかも、これは日曜昼間の風景なのだ。もはやちょい飲みレベルではない。その場でご一緒した地元の方にうかがうと、その辺の居酒屋で飲むよりこっちが安いと断言してくれた。観光客や家族連れ、女性1人の姿も見かける。大阪人は昼間からどんだけ飲むんだ?と、へとへとになる体験だった。

東京でのちょい飲みはスーパーが主導

関東のデパートには、ここまで「飲み」を打ち出しているところはまだ少ないように思うが、イオン系のスーパー「イオンスタイル」では「ちょい飲み」できるバルコーナーを併設する戦略を取っている。

スーパー業界ではグローサラント(スーパーとレストランを融合した言葉で、本来はスーパーの食材を使った食事を提供する)が注目されているが、子会社であるイオンリカーで売っているワインを試せる場という意味でのバル展開とも言える。

首都圏では、御嶽山駅前店、碑文谷店、品川シーサイド店、新浦安店、座間店などがある。グラスワイン1杯300円、つまみは店舗にもよるが250円程度から。イオンリカーで買った酒を持ち込むと、グラスを貸してくれる。

再開発中の渋谷駅南側(渋南エリアというらしい)に9月にオープンした「渋谷ストリーム」の中にも、ちょい飲みできるミニスーパーがある。2階の「プレッセ シブヤ デリマーケット」には生鮮食品はないが、惣菜やお弁当、ドリンクや菓子類、そしてアルコールがそろう。イートインコーナーでは買った物を食べることももちろんできるが、サーバーから注いでくれるクラフトビール(1杯500円・250ml)も提供。4種類の飲み比べセット1000円(各125ml)もある。イートインコーナーには電子レンジやポットも備えてあるので、そこで買った惣菜で夕飯がてら軽く飲むにはぴったりだろう。

デパ地下やスーパーでのちょい飲みは、安く、手早く済ませられるのがありがたい。居酒屋のようにお通し代もかからない。また、買って帰る家飲みと違い、酒びんや缶の分別や生ごみを捨てる手間から解放される。

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