メールの印象が悪い人が知らない小さなコツ 単語を1つ変えるだけで印象が良くなる

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言葉の使い方ひとつで、手紙の印象は変わります。ですから他人の手紙でも、よい表現を見つけたら積極的にまねていくべきです。

面識のない相手に送る手紙の導入部

手紙の導入部というのは、意外に悩まされます。

「謹啓 時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます」までは定型文ですから、悩むことはありませんが、次に何を書くかとなると、いきなり用件に入ろうか、もうすこしあいさつ文を引っ張ろうかと考えます。手紙の形式はTPOによって異なります。

旧知の仲であれば、長いあいさつ文よりも用件に入るほうが妥当ですし、面識のない相手に対しては、いきなり用件というわけにはいきません。昔は、面識のない人に何かを依頼するとき、冒頭でこう書いていました。

【例文C】
謹啓 時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
突然のご依頼で失礼いたします。

ところが、ある出版社から依頼文にはこうありました。

【例文D】
謹啓 時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
突然、このようなご依頼の文書をお送りする失礼をお許しください。

手紙をもらう側は、必ずしもその手紙を待ち望んでいるわけではありません。手紙をもらう側にしてみれば、見ず知らずの人から、突然、何かの頼まれごとをされるのですから、やはり冒頭のあいさつ文は辞を低くして臨まなければなりません。

したがって「突然のご依頼で失礼いたします」だけでは、いかにも形式的で、こちらの心中にある「かたじけなさ」が伝わらないなあと思っていたとき、この手紙をもらったので、これは使わせてもらおうと思いました。

「失礼いたします」でも意図は伝わりますが、「失礼をお許しください」としたほうが、手紙の送り主の気持ちに触れたような気がします。見ず知らずの相手からの手紙とはいえ、一応、気はつかっているのだなと相手に感じ取ってもらえるはずです。

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