手抜き授業をする「部活大好き教師」は辞めよ 前川喜平氏が示す「部活動改善」の方策とは?

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熊本県や愛知県などでは、小学校にも部活動がある。学校の部活動ではなくても、地域のスポーツ少年団の指導に地元の小学校の教師が携わることが当然視されている地域もある。

名古屋市教育委員会は2018年3月、全市立小学校261校で実施されている部活動を2020年度限りで廃止する方針を表明した。部活動廃止は英断だが、中学校や高校では容易にはできそうにない。

こうした取り組みだけでは根本的な解決にはならない。部活動における教師の負担を減らすためには、教師に代わる指導者を配置することが、どうしても必要になる。外部指導者の導入は多くの地域で進められてきている。スポーツ庁によると、2015年度に運動部活動の外部指導者を活用した中学校の割合は約74%に上る。

もはや外部指導者は部外者ではない

外部指導者の導入には有償の場合と無償の場合がある。有償の場合は、一般に設置自治体の教育委員会が謝金・交通費を出し、顧問教員の補助者として、部活動の技術指導を委嘱する。無償の場合は、通常学校ごとにボランティアの協力を依頼する。

その場合、教育委員会が人材リストを作成し、その中から学校が依頼するケースや「学校支援地域本部」や「コミュニティスクール」の仕組みを活用してボランティアを募るケースもある。

こうした外部指導者は、生徒たちの競技力の向上にも役立つし、顧問教師の技術指導の負担も軽減する。しかし、教師の負担軽減のためには、こうした「外部指導者」では不十分だ。

謝金で委嘱する「外部」指導者は、校長の監督下にいる学校職員ではないので、技術指導はできても安全管理や教育的配慮を行う責任は負えない。だから結局、顧問の教員も、練習や試合に立ち会わなければならなくなる。顧問教師の勤務時間を軽減することにはならないのだ。

部活動顧問の教師の時間的負担を軽減するためには、校長の監督下の学校職員として部活動指導者を配置する必要がある。すでに一部の自治体では配置されてきている。

市町村教育委員会が学校の非常勤職員として任用するので、単独で指導や引率ができる。月当たり数万円から10万円程度の報酬が支給される。こうした部活動指導者は「外部顧問」などと呼ばれたりするが、すでに校長監督下の学校職員になっているので「部外者」ではない。

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