夏の甲子園が「夏フェス化」した必然の理由 人気を永続化させるために必要なことは何か

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またここ最近は、他のメディアの報道も『熱闘甲子園』化している。たとえば「金足農が近江(滋賀)との試合で2ランスクイズを決めた瞬間に、金足農の畜舎で、9匹の豚が生まれた」という、この夏、スポーツニュースやスポーツ紙を賑わせた報道など、極めて『熱闘甲子園』的だったと言える。

見知らぬ若者が、次から次へと出て来てプレーする夏の甲子園は、観る側にとって、基本的にとっつきにくいものだが、『熱闘甲子園』や『熱闘甲子園』的なマスコミ報道は、その日・その試合で、注目すべき(面白がるべき)ポイントを、箇条書きで示してくれる。その積み重ねが、「ライトファン」の獲得・確保に貢献してきたと見るのだ。

酷暑・酷使問題をどう解決するか

という、夏の甲子園ファン、『熱闘甲子園』ファンの私だが、ここ最近の夏は、心の中に複雑なものを抱いている。そう、「酷暑」と「酷使」の問題についてである。

「酷暑」問題とは、今年のような猛暑の下でプレーをさせていいのかという問題であり、「酷使」問題とは、たとえば、金足農の吉田輝星投手が、今大会で881球も投げ(させられ)たことに象徴される、特に投手の投球数問題である。

「酷暑」と「酷使」の問題が、今年ほど声高に語られた大会はなかった。そして、「プレーヤーズ(選手)・ファースト」の観点から見て、いずれも、大会運営についての本質的問題だと考えられる。

「ライト」と「コア」の中間ぐらいの、年かさが増したファンの1人として言わせていただければ、まず何よりも、大会が続いていくことが大切で、かつ、自分の息子のような若者が、殺人的な環境の中、ちぎれんばかりに腕を振って連投するさまは、見ていて痛々しい。

なので、今大会より導入されたタイブレークに加えて、巷間語られている「球数制限」なども、積極的に導入すべきと考えており、加えて日程の緩和も必要だろう。

「酷使」問題対応として、準々決勝前後から決勝戦までの間に休日を増やすことに加えて、「酷暑」問題を勘案し、熱中症の危険が高まる13~15時の間には試合をしない「シエスタ」のような制度を導入すればどうか。そうして、午前の部と夕方の部に分けて、チケットも2種類販売する。

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