「宇宙関連ビジネス」が一斉に動き始めたワケ 背景には宇宙データ活用への期待がある

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種子島宇宙センターから打ち上げられるH2Aロケット。開発や打ち上げには三菱重工業も携わる(2017年3月、編集部撮影)

ロケットの打ち上げ、有人宇宙飛行、人工流れ星――。今、世界的に宇宙ビジネスが盛り上がりを見せている。

すでに世界で1000社を超える宇宙ベンチャー企業が誕生したといわれる。米アマゾンCEO(最高経営責任者)のジェフ・ベゾス氏が創業したブルーオリジンや米テスラCEOのイーロン・マスク氏が経営するスペースXは、民間でロケット事業を展開していることで注目を集め続けている。

宇宙産業の市場規模は世界で30兆円強といわれている(米スペースファウンデーション調べ)。これまでは政府主導だったが、最近では民間のベンチャー企業が台頭しつつある。こうしたベンチャー主導の宇宙開発の潮流は、「NewSpace(ニュースペース)」と呼ばれている。

そして日本でも、2010年代に入ってから多くの宇宙ベンチャー企業が勃興、累計で100億円以上の資金を調達している。宇宙ビジネス拡大の波がここ数年、日本にも及んできたのだ。

「宇宙データ」に注目集まる

なぜここまでビジネスが拡大しているのか。その大きな要因は、衛星画像などの「宇宙データ」にある。経済産業省宇宙産業室の国澤朋久・室長補佐は「現状では宇宙産業の約9割は政府やJAXA(宇宙航空研究開発機構)などの官需で、民需は1割しかない。宇宙データは民需を伸ばすカギになる」と話す。

7月末、宇宙データの活用を民間で推進するための取り組み「xData Alliance(クロスデータアライアンス)」が発足した。目的は、JAXAなどが運用する政府衛星が撮影した画像データを無償で共有するプラットフォーム「Tellus(テルース)」の開発とその利用促進。21の事業者と組織が加わり、その中にはフリマアプリを運営するメルカリの研究開発組織もある。

経済産業省から事業を受託した、データセンター運営最大手さくらインターネットの田中邦裕社長は「宇宙データをただ使えるだけでなく、利用することが前提である社会にしていきたい」と意気込む。

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