再建半ば雪国まいたけ、創業社長辞任の波紋 不適切会計の理由は「強すぎるリーダーシップ」

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もっとも、このところ世間を騒がしている、ホテルやレストランの食品メニュー偽装表示とは異なり、雪国まいたけの製品そのものに瑕疵があったわけではない。例えば社会的指弾を受けて、小売り店頭の商品を回収するといった販売現場への波及は考えにくく、今期業績への影響は限定的になりそう。ただ財務体質と同じく、上場企業としてのブランド価値に傷が付き、株式市場での信用が失墜したことは間違いない。

社長を恐れて物言わぬ役員

報告書は、今回の不祥事の原因として、滋賀県の土地購入については「経営者の強すぎたリーダーシップによる暗黙の重圧により、担当役員または担当者が業績に与える影響を回避したものであると推認される」、不動産の減損は「背景には経営トップによる業績維持の圧力が幹部や担当者まで及んでいたものと考える」、広告宣伝費に関しては「担当者の行動は経営トップの意向を忖度し無理にでもそれに応えようとしたものと考える」――といずれも大平社長の強くなりすぎたリーダーシップを挙げている。

大平社長は、一刻も早く後任社長を選んで身を引き、事態収拾のためのメッセージを明確に社内外に伝えることが、再建を軌道に乗せる最善の道であるはずだ。

鶴見 昌憲 東洋経済 記者

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つるみ まさのり / Masanori Tsurumi

紙パルプ、印刷会社等を担当

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