順位激動!東京の「利用者が多い駅」トップ40 今は1位の新宿駅も、65年前は3位だった

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5年ごとの順位を並べてみて最初に目についたのは、大崎駅。かつては60位台だったが、1990年代以降、乗車人員は緩やかな上昇傾向を示し、2006年度には24位にまで浮上していた。

冒頭の駅スタンプの話でいえば、大崎駅は「山手線と高層ビル群」がデザインされている(山手線の車両はご丁寧に最新鋭のE235系だ)。高層ビル群は、私の思い浮かべる大崎駅と符合する。改札を抜けるとペデストリアンデッキがあり、それがビルに直結しているところなんか、田舎出身の自分にとって都会の象徴だ。ところが歴史をひもといてみると、アーバンな雰囲気を漂わせるように至ったのはここ30年ほどの変化によるものだった。

もともとは工場の街だった大崎駅周辺。しかし1982年に東京都が策定した「東京都長期計画」において、周辺が副都心の1つに位置付けられ、市街地整備が始まった。東口に「大崎ニューシティ」が1989年にオープンしたのを皮切りに、1999年にはソニーなど大手企業の入居する「ゲートシティ大崎」がその近隣に、そして2001年にはタワーマンションと商業施設の入居する「オーバルコート大崎」がオープンした。さらに、2002年には都市再生特別措置法に基づく都市再生緊急整備地域に指定されたことから、大規模開発事業も大きく進んだ。

また、再開発と時を同じくして、2001年に湘南新宿ラインが開業し、翌2002年には埼京線の大崎延伸、およびりんかい線との直通運転が始まった。大崎駅は、2017年時点では13位にランクインしている。

恵比寿も今とは全然違う駅だった

埼京線との関係でいえば、恵比寿駅は1991年度の32位(1日当たり8万4780人)から、埼京線が同駅まで延伸開業した1996年度には21位(11万7740人)まで順位を上げている。

恵比寿駅が開業したのは1901年。もともとは隣接していた日本麦酒の工場からビールを運ぶための貨物駅として誕生し、その5年後の1906年には旅客営業を始めた。駅名は言わずもがな「ヱビスビール」に由来する。

恵比寿ガーデンプレイス(奥)付近を走る湘南新宿ラインの電車(写真:tarousite / PIXTA)

工場が閉鎖されたのは1988年のこと。そして、その跡地に1994年にオープンしたのが「恵比寿ガーデンプレイス」だ。恵比寿ガーデンプレイスは、サッポロビール本社、オフィスビル、美術館、そしてマンションなどから構成されており、こちらが恵比寿駅の順位押し上げに影響していると考えられる。

このほか、浜松町駅は1980年代から1990年代にかけて順位を大きく押し上げているが(1981年度=36位、1996年度=11位)、これは同時期に進んだ駅周辺から臨海部にかけて(ウォーターフロント)の再開発によるものだろう。

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